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リンダの回復

 はじめはどうなることかと思っていたが、ミグリアがポーションを購入して以来ポツポツとポーションは売れ始め、気が付けが十本ものポーションを売ることが出来た。

 手持ちのお金は金貨一枚以上。

 本当に多少高くしても売れるんだな……。王都だと――。


 ただ、逆を言えば他のものも高くで売られていると言うことだ。

 さすが王都……自分は一生住めそうにないな。


 とにかくお金が貯まった以上早くリンダを助けに行かないと。


 シィルは奴隷商へと向かって足を早めた。




◇◇◇




「ようこそいらっしゃいました。そのご様子ですと奴隷ご購入の費用がお貯まりになったご様子……どの奴隷をご入用でしょうか?」



 奴隷商の店に行くとイーレンが不敵な笑みを浮かべながら近づいてくる。



「もちろん彼女をお願いします」



 シィルはリンダの指さしながらイーレンに頼む。




「はい、かしこまりました」



 相変わらず反応がない彼女。

 それは奴隷をして買われた後も同じであった。


 シィルはリンダを購入した後、奴隷についての説明を一通り受け、そのまま王城の客間へと戻っていった。




◇◇◇




「あれっ、そちらの方は?」



 客間の方に来るとマリナが不思議そうに聞いてくる。



「えっと、この人は以前僕からポーションを買っていった人で……なぜかこの町の奴隷商で売られていたんですよ」

「うーん、これはおそらく毒による症状ですね。それもただの毒ではなくて無理に人格を壊してしまうような王国では使用を禁止している類いのものです」



 そんなことは見たらわかるものなのだろうか?



「あの……それを治す方法は?」

「まず普通の方法では無理ですね。ただ、私もあくまで知識として知っているだけであっさりポーションとかで治ったりするかもしれないですよ」



 まさかこんな症状がポーションで治るはずないよ。

 シィルは苦笑を浮かべていた。

 ただその横でリウが何か考えている様子だったことはシィルは気づいていなかった。



「あっ、お兄ちゃん。ポーションを一つもらってもいい?」



 突然リウが言ってくる。

 でもリウなら一本くらい上げても何にも問題ないよね。

 シィルは鞄から一本取り出すとそれをリウに渡す。



「これで大丈夫?」

「うん、ありがとう、お兄ちゃん!」



 嬉しそうにシィルにお礼を言うリウ。

 そして、一度チラッとリンダのことを見た後に彼女は自分の部屋へと戻っていった。



【残りポーションの数15本】




◇◇◇




 夜、みんなが寝静まった頃にリウは一人こっそりとシィルの部屋へとやってきた。

 目当ての人物はシィルの部屋にいることとなったリンダ。


 元々ポーション売りを探していた彼女。

 そして、たまたま風邪を引いて本当に普通のポーションだった時にそれを買って帰った。


 もし、そのポーション売りを探していた理由が彼女自身ではなく、その雇い主による命であったのたら……。

 そして、ただのポーションを買って来た彼女に罰としてこのような状態にしたのなら……。


 その正体は早めにわかるにこしたことはない。


 ただ、普通のポーションだと思っているシィルにはこれを飲ませることでリンダを元に戻せるかもしれない……ということは思いつかないだろう。


 そして、ケリーもそこまでの頭は働かないはず。

 そう考えると自分が動くしかないだろう。


 なるべく音を立てないようにしてシィルの部屋へと潜り込む。

 そこには心地好さそうな寝息を立てているシィルの姿があった。

 その寝顔を見ると思わず微笑んでしまうが、首を横に振って本来の目的を果たすことにする。


 シィルのベッドの横……少し離れた位置にもう一つベッドが置かれていた。前までなかったものなのでおそらくこれはリンダもこの部屋に寝かせると決まった時に運んできたものなのだろう。


 彼女が寝ている方のベッドへと向かう。

 寝ているときは何も違和感を感じない。

 今なら遠慮なくポーションを飲ませることができるだろう。


 問題はそのあと……だよね?

 この人が元の雇い主のことに苛立ちを浮かんでいたならその人のことを話してくれるだろう。


 あとはこの人が目覚めた時にシィルを襲わないか……だけど。



「まぁ、それは大丈夫だよね」



 リウは一応空き部屋だと紹介されてた部屋の壁を見る。

 その先には聞き耳を立てていたアランたちSランク冒険者の姿があった。


 彼らの目が光っているならリウ自身が何かするより安心だろう。そう思いながらリウはリンダにポーションを飲ませる。

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