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爆発音

 翌日からはマリナには悪いが販売の方についてもらうのは遠慮してもらった。

 さすがに全くと言っていいほどポーションが売れないのはシィルとしても困る。

 マリナは少し不満げではあったもののなんとか承諾してくれた。


 そして、普段通りエリーと二人ポーションの販売に出かける。

 すると昨日全く売れなかったのが嘘みたいにたくさん買ってもらえた。



「おう、これだこれ。待ってたんだ!」



 喜びの声が上がると、どこかシィルも嬉しくなる。

 わざわざシィルのところから買わなくても道具屋で買えるのに、それでも自分のところで買ってくれる常連さんたち……。


 目的がエリーの人もいるけど……。

 それでも自分の薬を買ってもらえることは嬉しい。


 これなら自分にポーション作りのノウハウを託してくれたおじさんも喜んでくれるだろう。おじさん自身はもう作ることもそのポーションを配ることもできないと言っていたから……。




 ◇◇◇




 昼くらいまで道沿いでポーションを売り、その後にギルド前へと向かう。

 するとリエットが手を振ってくる。



「シィルくん、今日もポーションもらえるかな?」



 そう言いながらシィルの後ろへと視線を送っている。

 もしかして誰かいるのだろうか?

 不思議に思ったシィルは一度振り向く。

 しかし、後ろには誰もいなかった。



「うん、今日は王女様はいないみたいだね」



 リエットはどこか嬉しそうに数回頷く。



「さすがに僕もポーションが売れないと困るからね」



 といっても最近はエリーが一緒に販売してくれるからかなり多めに売れているし、懐具合にも余裕がある。


 ただ、協力してくれてるお礼にといくらか払おうとしても「シィルさんにはたくさんのものをもらいましたから、お金なんて受け取れません」と言って断られてしまう。


 自分がエリーにしたことなんてポーションを渡したくらいなんだけどな。


 それくらいで大げさに感謝されても困るから今度何かプレゼントしよう。うん、それがいいね。


 ただ、エリーに言うとそれも断られてしまうだろうし、これは自分の心のうちに秘めておこう。



「それならいつもと同じ五本もらえる?」

「はい、どうぞ」



 リエットからお金を受け取り、ポーションを渡す。

 するとマナが冒険者ギルドの扉から顔を出し、シィルの姿を確認するとそのまま走って抱きついてくる。

 あまりに勢いよく飛びついてくるものだから、そのまま倒れそうになるが何とか耐えきった。



「お兄ちゃん、あのねあのね。マナね、魔法が使えるようになったんだよ」



 上目遣いで嬉しそうに話してくる。

 魔法か……。

 自分は魔力を込めることはできても魔法として使うことはできないからなぁ。



「すごいね。自分で勉強したの?」



 褒めるついでに頭を撫でるとマナは嬉しそうに目を細める。



「実はギルドに来た人たちに教わってたんだよね」



 リエットがさりげなく教えてくれる。

 するとマナがふくれっ面になり、リエットを叩き始める。



「もう、リエットさん。教えないでよ……」

「あはは……、ごめんごめん」



 そんな二人の様子を見ているとどこか心が安らいでくる。



「それで今日はどうする? ご飯食べていくの?」



 期待のこもったマナの視線がまぶしい。



「そうだね、せっかくだから食べていこうかな……」



 するとマナがうれしそうにシィルの手を引っ張っていく。

 その瞬間に貴族街の方から大きな爆発音が聞こえてくる。



「えっ、なに!?」

「爆発? どうして?」



 リエットとエリーが困惑の声を上げる。

 そして、ギルド内からギルド長のライヘンを始め、たくさんの冒険者たちが飛び出して来た。



「なにがあったんだ!?」



 ライヘンがシィルたちに聞いてくる。



「わかりません。ただ、あちらの方角から爆発音がしました……」



 シィルは貴族街の方を指差す。

 そこにはなにかが壊れたのか、もくもくと白い煙が上がっている。



「わかった。俺たちは現場に向かうぞ! シィル君たちは悪いけどこのことをユーグリッド様に伝えてくれるか?」

「は、はい……」

「リエット、シィル君のことは任せたよ!」



 ライヘンがリエットに鋭い視線を送ってくる。

 すると彼女は真剣な表情で一度だけ頷く。

 それを見て満足したライヘンは真っ直ぐに貴族街の方へと駆け出していった。



「それじゃあ私たちも行きましょう」



 リエットがシィルの手を引き、同じように貴族街の方へと向かう。

 ただ、シィルとリエットの他にエリーやマナも付いて来ていた。



「二人は危ないよ!」



 リエットが注意するけど、言うことを聞かない二人。

 


「貴族街は私の家があるんですよ。それに話しにいく相手が父なら私がいた方がいいはずです!」

「ま、マナは……お兄ちゃんを守るの!」



 マナの方は理由になっていない気がするがここで説得する時間ももったいない。仕方なくマナも連れていくことにする。


たくさんの応援ありがとうございます。これからも更新を頑張っていきます。

キリのいいところまでは毎日更新を続けます。

あとは作者の気分で回数が増えますのでご了承ください。

気に入っていただけましたら、ブクマや画面下部の評価をどうぞよろしくお願いします!

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