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33話 別√③ side オズワルド

  

「……うん。やっぱり、これが1番早い、かな………?」


「何か策が思い浮かんだのか?」


回避を続ける中、何かを思い付いたのかとレイアスへと問いかける。


「まぁ、ね。多分何とかなると思うよ」


「本当かっ!? それで策は?」


俺は逸る気持ちを抑えきれずに、レイアスへと詰め寄った。


「うん。どうやら、あのゴーレムはダンジョンの魔力で動いているみたいだよ。だから、再生はほぼ無尽蔵に行われる」


「無尽蔵……それでは、何回壊したところで全て無駄ということか」


最悪、持久戦覚悟で、何度も壊し続ければいつかは勝てると思っていた。

だが、無尽蔵の相手では此方が先にへばる事は目に見えている。

そして、俺達では火力が足りない以上、勝つことは不可能に等しい。


「うん、だからその魔力の供給を一時的に止めるしかないね」


「供給を止める? ……そんな事が出来るのか?」


先程からゴーレムに攻撃を加えているが、魔力の供給が途絶えたりはしていない。

弱点のような場所があるのかも知れないが、外側からは分からないし、数を撃つにしても魔力が足りるか心配だ。


「うん。僕のこの眼鏡、魔導具何だけどね? これ、魔力を可視出来るんだ」


レイアスは指で眼鏡を軽く持ち上げて、俺に見せた。


「は? 何だその魔導具は? 聞いたことないぞ。というか、そんな便利な物、何で俺に教えないんだ!?」


何らかの魔導具だろうとは思っていたが、効果を聞いたことはなかった。


魔力を可視する魔導具……どう考えても非常に有用な物であろう。

俺も欲しい。


「リューも持っているよ。モノクル型のをプレゼントしたんだ」


「俺にも戻ったら、寄越せ」


モノクル……リュートのオッドアイだと、よく映えそうだな。

装着しているようには見えなかったが、魔法で消していたのかも知れない。


「……俺も。戦闘に便利そうだし」


俺達の話を聞いていたアシュレイも、欲しいと声を小さく上げた。


「え? 嫌だよ。折角、リューとお揃いなんだし」


しかし、俺達の要望をレイアスはあっさり拒否した。

とてつもなく下らない理由で。


「お前な……俺は仮にも王太子だぞ? もう少し、敬いというものはないのか?」


別にへりくだるように望んでいる訳ではないが、普通は喜んで俺に差し出すのではないか?


「ははっ……まぁ、冗談はこれくらいにして、コレの有用性は理解出来るだろう? 今はまだ一般に広めたくはないんだよ。それにコレ特殊な鉱石や魔石とかも使ってるから、中々用意できるもんでもないしね」


「……今はそう言う事にしておこう。その代わり、次に作れる時には俺に必ず寄越せ」


今、レイアスは何かを隠そうとした。

だが、どうせこいつは口を割らないだろう。

気になる点はあるが、こいつの好きにさせよう。

これも長年の信頼というやつだ。


「はいはい……その時は、オズとアシュレイの2人分用意するよ」


「あぁ……それで、話の続きは?」


逸れてしまった話を、俺は元に戻した。


「うん、だから僕がその供給を一時的に止めるから、その間に他のメンバーで一斉に攻撃を仕掛けて」


「……出来るのか?」


レイアスの提案に不安だった訳ではないが、たった1人で止められるものかと聞き返してしまった。


「誰に聞いてるの? コレくらい出来ないと、リューの兄を名乗れないだろう?」


クスリと笑って応える姿は、自信満々で微塵も不安を感じさせなかった。


「そうか……任せたぞ」


此処にはもう1人の弟(アシュレイ)もいるのだから、恥ずかしい姿を見せるなよ。


俺達はレイアスの案に、賭けてみる事にした。











◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆













「照射止まりましたっ!!」


「皆、作戦通りに行動を開始しろっ!!」


ゴーレムの黒い光の照射が止まった所で、俺達は自前の作戦通り行動を開始した。

各々で魔法の詠唱を始める。


「レイアスっ!!」


「分かってる、行くよ!」


そう言い残すとレイアスが剣を構えて、ゴーレムへと駆け寄った。


「⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯……“◆◇◆◇◆◇”」


レイアスが剣をゴーレムの中央に突き刺し、何かを口にした。

その瞬間、ゴーレムは時を止めたように一切の動きを止める。


「今だ! 全員攻撃!!」


レイアスがその場を離れた瞬間、準備していたそれぞれの最大威力の魔法を一斉に放った。

ゴーレムの3割程が、俺達の攻撃で崩れ落ちる。


「休むな! 撃ったら、次の魔法だ!」


「「「「はいっ!!」」」」


先程までなら既に再生していたであろうゴーレムが、沈黙し続ける今がチャンスだ。

俺も直ぐに次の詠唱を始める。


そうして、何度か繰り返した後、俺達は遂にゴーレムを撃破する事に成功したのであった。



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