01話 とある腐王女によるネタバレ(強制)①
今週は平日更新できず、ごめんなさいm(__)m
ちょっと体調が悪くて……
5.21 割り込み更新しました。
桜が舞う穏やかな季節────
沢山の新入生達が、これから始まる生活に期待に胸を膨らませ門をくぐっていく。
「ほら、とっとと探すぞ」
俺はその新入生達を指で差し言った。
「えーぇ、こんなに一杯いるなか探すなんて無理じゃない?」
不満に唇を尖らせるのは、この国の王女ユーリア・ライト・ユグドラシアであり前世含めて腐女子な少女。
そして一応、俺の主人(激しく不満)であるお方である。
今日はある目的のもと、早めに来て門が見えるこの部屋にスタンバイしていた。
「……オーラが違うんじゃないのか? ……攻略対象者なんだし」
確かに人数は多いが、いけるだろう……………多分。
流石に国一番の学校とだけあって、通う生徒の数も桁違いに多い。
「何それ適当!? ……どうせ後で会うことになるだろうし、今じゃなくてもいいじゃん! お茶してよーよーぉ。何で朝早くから、態々攻略対象者探しなんて……」
そう、俺達の目的はこの年に同じく入学する予定の攻略対象者だ。
時前にシナリオを把握するために、ユリアに見せて情報を得ようとしているのだ。
「……それで、ヤバイシナリオの奴だったらどうするんだ? 俺はお前が話してるのを、聞きかじっただけに過ぎない。ヤバそうなら、接触は極力断つべきだろう? 特にユリアは登場人物で、死亡フラグだってあるかもしれないんだし」
何時までも、真面目に取り組もうとしないユリアを諭す。
この腐王女とも、この1年で随分打ち解けたものだ。
人目があっても漏れ出す腐の気配に、最初はいたく苦労したものだったが。
「……はぁい、真面目にやります」
ユリアも自分の立場の危うさを分かっているのか、のそのそと窓辺に移動し双眼鏡で対象者を探しだした。
「早めに見つけろよ。この後、俺は式で答辞読まなきゃいけないんだし」
俺はそんなユリアを視界の端に納めながらも、優雅に紅茶を飲んだ。
攻略対象者の顔を知らない俺では手伝う事は出来ないのだ。
「ずっこい! 自分だけ優雅にティータイムなんてずっこいよ!!」
そんな俺に気付いたユリアが、抗議の声をあげた。
「あ?」
それに対し、俺はただ声を低くして聞き返した。
「ご、ごめんなさい。全くずるくないです、真面目にやります!」
すると、ユリアは今までの経験から直ぐ様謝った。
分かっているなら、初めから行動にうつして貰いたいものだ。
「……アシュレイ・スタッガルド…………兄様の異母弟、ね」
俺がこれだけ警戒しているのは、何も攻略対象者だからというだけじゃない。
憤怒√の攻略対象者であるアシュレイ・スタッガルドは、兄様とは母親の違う実の兄弟。
しかも、相手は兄様の事を憎んでいるらしいのだ。
そんな危険人物を放置出来ない。
なので場合によっては2人の接触を断たせる為に、シナリオを前もって把握する必要があるのだ。
本当はこんな直前間際でなく事前に把握しておきたかったが、相手がパーティーなどには参加せず、また此方から接触をはかるのは家同士の繋がりも無かったので出来なかった。
「……あ、……いた! いたよ、アシュレイ・スタッガルド!!」
渋々攻略対象者を探していたユリアが、見つけたと声をあげた。
思ったより、早く見つかったな。
正直、こんな早くから学園に来ているとは思っていなかった。
どうやら、アシュレイ・スタッガルドは真面目な性格ではあるようだ。
「本当か? それで……思い出せそうか?」
俺はユリアの見ている方に視線を向けながら、肝心な事を聞く。
目的の少年は真っ赤な燃えるような髪を長く伸ばして、後ろで無造作に結んでいる。
うん……やっぱり、オーラが違うね。
この距離からでも、容姿が整っているのが分かるし。
「……うーん? ん、いけそう。シナリオが思い浮かんできた!」
「よかった。それで、接触は避けた方が良さそうか?」
どうやら、俺の心配は杞憂だったようだ。
情報が手に入ったようで良かった。
「いや……避けるのは絶対やめた方がいいよ」
「何で?」
神妙な顔で言うユリアに、首をかしげる。
正直、積極的に関わりたいわけではないんだけど。
アシュレイ・スタッガルドには婚約者がいるし、またリリスのように絡まれるのも面倒だ。
「だってレイアス様とアシュレイ様の仲を改善しないと、アシュレイ様√のバッドエンドで、レイアス様が死んじゃうよ!」
どうやら、入学式早々、面倒なことになったようだ。
この週末に、割り込み更新をする予定です。
読み飛ばし注意で御願いします。




