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想いよ届け3

 アクセサリーショップの前で待っていると成宮が戻ってきた。


「お待たせ」

「ああ。次はどこ行く?」

「和也が色々買ってくれたから、もう大丈夫。そろそろ帰ろう」

「了解」


 ショッピングモールを後にして、家路につく。

 天高く昇っていた太陽はいつの間にか傾いていて、帰り道に通る住宅街からは夕飯のいい香りがする。家に帰る子供たちが元気な声を上げて公園から駆けていく。


 住宅地を抜け、自宅アパートに着くと見知った影が二つ。

 アパートの共用玄関で待っていた。


「おーっす。待ってたぞ」

「待ちくたびれたよー」


 少し緊張した様子で手を振る辰真と、背中で腕を組みながら悪戯っぽく笑う美雪。

 急な要請だったが来てくれるあたり、いい奴らだ。


 戸惑いながらもぺこり、と頭を下げた成宮は状況が飲み込めないようだ。


「え、っと?」

「ああ、今からパーティーするんだ」

「パーティー? なんの?」

「なにって。ちょっと早いが、遥の誕生日パーティーだよ」


 俺の言葉に合わせ、辰真と美雪は仕入れてきた食材を掲げて見せる。

 請求は俺持ちとは言ったが、遠慮なく買ってきやがった。


 予想外の事態に、成宮は口をぽかんと開けたまま微かに瞳を潤ませていた。


「いい、の?」

「当然だろ。今日は皆で盛り上がろうぜ」

「「おおー!」」


 こういう時ノリのいい辰真と美雪は声を揃えて盛り上がってくれる。


 成宮にとって、初めての誕生日会だ。思いっきり楽しまないとな。


 自宅に戻り、成宮を座らせて三人で誕生日会の準備を始める。

 成宮はなにかしたそうにそわそわしているが、本日の主役を働かせるわけにはいかない。


 辰真と美雪が買ってきてくれたオードブルやらお寿司屋らを並べていく。


「ジュースも買って来たぜ。和也コップはどこだ?」

「お菓子もあるよー。兄貴、お皿どこー?」


 元来こういった賑やかしい者が好きな辰真と美雪は率先して用意を手伝ってくれる。

 にしても、この二人案外息が合うのか? 横目でしか見ていないが、辰真と美雪は仲良さそうに話しながら準備している。


 まさか、付き合ったりしてしまうんだろうか?

 いや、それはまだないか。


 机に溢れんばかりに乗った食べ物の数々。

 四人で席に着き、それぞれ飲み物を注いだコップを持つ。


「よし、準便は良いな。じゃあ、遥の誕生日を祝して、乾杯!」

「「かんぱーい!」」

「か、乾杯」


 成宮も戸惑いながら俺たちに続いてコップを合わせる。


「じゃあ、遥から一言」

「え、えっと。その、あ、ありがとう」

「「いえーい!」」


 完全に盛り上げ役となっている親友と妹。

 にぎやかしのために呼んだが、作戦は成功のようだ。


 最初こそあたふたしていた成宮も、ノリの良さに緩和されたのか次第に会話に参加し始めている。


 他愛のない会話、学校でのこととか、好きなものの話とか。

 同年代が集まっているせいか、会話は尽きない。


 気づけば外は暗くなっていて、あっという間に時間は過ぎていた。

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