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その二十


 繁華街から離れた裏路地の更に奥にその店はある。


 掲げられた看板には力強い毛筆で〝夢見屋本舗〟とある。


 下手すると廃墟と言ってもいい寂れようだ。


 それでもうらぶれてはいても、お化け屋敷や曰くつきの物件のようにどこか暗い雰囲気が漂っているわけではない、ということに励まされ、また自身を取り巻く状況から止む無く客は中に入って行く。


 店内に入るや首を傾げる表示や進路に従うと、不意に店主の待つ部屋に辿り着く。

 


 一見廃業したかのような鄙びた佇まいだが、一杯の茶と共に軽妙洒脱な店主と目を奪われる絶世の美女の助手が客の訪れを待っている。


 こうして客人は店主に依頼を告げる。


 門戸は広く開かれ、一見の客であっても、以前世話になった客であっても店主は等しく依頼を快諾する。




 春星は入口でニヤリと笑って振り返る。


「さて、今日は一体どんな依頼で?」


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