ひとやすみ。
……かわいい。けど、きれい。手、離さないでいてくれる。それどころか、ぎゅって握ってくる。それにびっくりして、思わず足が止まる。
「もう、どうかした?」
「ちょっと疲れてません?最初の頃の元気、ちょっとないですし」
「そうかなぁ、……まあ、でもちょっと休もっか。水の中って、けっこう疲れちゃうもんね」
プールの後の授業って、めちゃくちゃよく寝れちゃうもんね。数学とかだったら、本当に秒で夢の世界に行けちゃう。
「それじゃあドーナツ屋さん行きません?実はけっこう好きで……っ」
「じゃあ行こっか、うちも好きだし」
有里紗ちゃん、けっこうそういうの好きなんだ。甘いものってあんまり食べないから、お菓子とかどういうのが好きかそこまで知らないんだよね。抹茶系のはよく食べてるイメージあるけど、それくらいしか知らないや。
「……あたしもスイーツとか控えてるんすけど、今日くらい、いいっすよね」
「そうだよね、うちもドーナツとか食べたのいつぶりだろ」
「お互いオフの時期がかぶればいいんすけどねぇ、今はどっちも一応は空いてますけど」
「うちは短距離だし冬はオフだけど、長距離って冬が本番なんだもんね、有里紗ちゃん、駅伝とかもやるし」
短距離しかないうちは冬はあんまり大会はないんだけど、有里紗ちゃんは駅伝のメンバーにも選ばれてるし、そっちは冬だし。お互いが忙しくないのって、三学期のときくらいかな。
「そうなんすよねぇ、あたし的には3000メートルって短いし、むしろもっと長い距離やれる冬のほうが本番っていうか」
「うちだと400メートルで限界なんだけどなぁ、ちょっとうらやましいかも」
「あたしも、志乃せんぱいのこと羨ましいんすよ、風みたいに一瞬でどっか行っちゃうんすから」
自分の持ってるものは好きだけど、それでもないものねだりはしたくなっちゃう。有里紗ちゃんも、そうなんだって、ちょっとほっとする。
「全然違うもんね、うちら。自分の持ってるものは好きだけど、やっぱうらやましくなっちゃうよね」
「ですね……、って、もうついちゃったっすね。何頼むか決めました?」
「うーん、何にしよっか、さすがに一個くらいにしないと、……だし」
「うぅ……、あたしなかなか体重落ちないんすよねぇ」
お互い、同じことで悩んで、一番満足できるのを一生懸命考えて。なんか、青春してるって感じ、しちゃうね。
「あ、じゃあこれにしよっかな、有里紗ちゃんは?」
「あぁ、あたしも決めたっすよ」
列に並ぶときも、自然に手がつながる。心の中、くすぐったいけど、……今は、これが好き。




