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転生武将は戦国の社畜  作者: 赤井嶺


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浜松城攻防戦⑦〜敵の焦りは味方を安心させる〜

武田の夜襲に徳川方は一時的に慌てたが、浜松城という絶対的な防壁があり、城に乗り込んでくる敵兵も少ない。その結果、落ち着いて対処し、敵兵を討ち取っていった。その数150程。


この事に家康はある疑惑を持った。その事を話す為に軍議を開く


「皆、此度の武田の夜襲、よくぞ撃退してくれた。そして、此度の夜襲で儂はある疑惑を持った。それは、武田は足軽達を抑えられる者が大将ではない!そして、食糧もままならない現状なのだろう。と、皆の意見を聞かせてくれ」


「拙者も殿と同じく。推察にはなりますが、武田の大将はもしや嫡男の四郎勝頼ではないのかと思います」


「確かに父である信玄坊主ならば、統率が取れて、此度の様な事は起きないだろう」


「しかし殿、本来ならば信玄坊主が大将として三方ヶ原から城まで軍勢を率いてくると思うのですが、この状況は「武田が信玄坊主以外の誰かを大将にしないといけない」状況だったと思われます」


「成程。信玄坊主が動けぬ理由と。嫡男に武功を挙げさせたいのか、それとも」


「「重い病で動けぬ」という可能性も」


「弥八郎。何故そう思う」


「思い返してくだされ。先月、柴田殿一行が城に来た時、吉六郎殿が武田の此度の動きを「天下取りの為」と予想しておりましたが、この時期に戦だけでなく、大軍を長距離移動させるとなると、かなりの「急がねばならない理由」があるかと」


「その理由が「信玄坊主が重い病にかかっているから」という事か」


「はい」


「ふむ。となれば、信玄坊主が重い病で動けぬ事を漏らさぬ為に、そして万が一にも首を取られない為に周りを固めている可能性が高い。それならば、包囲している軍勢に援軍は来ない!と見てよいか」


その言葉から家康はしばらく無言になり、そして


「うむ!武田が一枚岩になっていない現状ならば、我々はこのまま籠城策を続ける。しかし、もしかしたら武田が援軍を出すかもしれぬ。そこで半蔵」


「ははっ!」


「お主の家臣達を使い、武田の援軍が来るかを見張れ!現在、包囲している武田と我々の軍勢の数は、ぼぼ同数。武田が増える見込みが無いなら無理をする必要はない。兵達にもその様に伝えよ」


「「「「ははっ!!!!」」」」


「さあ、信玄坊主よ。苦しむ味方の為に動くか?それとも、病で動けぬか?」


そう呟いた家康の顔は腹黒さ全開だった。

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