伊達家がやるべき事と毛皮の値段
天正二十二年(1594年)十二月十八日
陸奥国 某所
「誠に柴田様は、織田家の重臣なのかと疑う程に働かれておるな。まさか炭焼きまで自らやっておるとは」
「我々足軽と同じ、いや足軽以上に働いておる気がするぞ?」
「しかし、右府様も「竹から炭を作り、それを薪の代わりする為、竹を伐採しろ!」と仰るとは」
「実はこの提案、元服前の柴田様が既に提案しておられたそうじゃ!だからなのじゃろうな、織田家が薪にかかる銭を抑えられたのは」
「誠か!しかし、その話を聞くに柴田様は元服前から働いておられるな。いつお休みになられておるのか、いや、寝る時以外は働いておるとしか思えぬな」
皆さんおはようございます。伊達家の足軽さん達が話している内容でお分かりだと思いますが、現在竹炭を作っております柴田六三郎です
数日前に大殿と伊達政宗と片倉さんを交えた話し合いの際、大殿から
「伊達家は薪にかかる銭を抑える為に、竹を炭として使え!作り方は六三郎が知っておるから、見たり聞いたりして作り方を覚えておけば、儂達が帰った後でもどうにかなるじゃろう!」
と言う、中々の無茶振りをされまして、それを受けた伊達政宗が
「今すぐ炭焼き小屋を作りましょう」と決断して、竹の伐採は藤五郎殿が中心となって行ないました。するとなんて事でしょう
あっという間に竹が50本も集まりました。その竹を1尺、およそ30センチに切り分けまして、そこからは美濃国の領地でやった事を実行しております
予定通りなら、そろそろ10本くらいが完成して、そこから冷やして行きながら、竹炭の増産も可能になるでしょうから、そこから薪の使用量が減るのであれば
木の伐採から雪崩が起きる可能性も減るでしょうから、とても良い事ではありますか、そのまま放置しない様に、皆さんに気をつけて欲しい所です
まあ、そんな感じで伊達家の領地ですので、俺がどうこうは言えませんので、提案レベルに留めておきますが、
個人的には炭焼き小屋を増設して欲しいです!伊達政宗が急ピッチで作らせた、俺が使用している炭焼き小屋ですが、
人間が2人入るのがやっとで、竹に火を入れる竈門的な場所の面積も小さめなのです。これでは竹炭も10本作るのがやっとです
なので同じ大きさの炭焼き小屋を、せめてあと5件は作って欲しい所ではあります。これも片倉さんや隆次郎くんを通しての提案だな
と言うか待て!なんで俺の側に伊達家家臣が殆ど居ないんだ!?大殿から「見たり聞いたりして作り方を覚えろ!」と言われておきながら
この人数はどう言う事だ!もっと人数増やして竹炭作りが出来る人間を増やせよ!
六三郎が疲労が溜まってきたからなのか、軽く情緒不安定になって来た所で景綱が
「柴田様!小型の毛皮が完成したと、領民達から報告と同時に品物が届けられました!右府様と殿と共に、大広間で確認をお願いします!」
小型の毛皮、ファーが完成したと領民達が持って来たとの報告をしに来た。それを聞いた六三郎は
「誠ですか!それは今すぐに行かねばなりませぬな!片倉殿、家臣の方々へ炭焼きに挑戦させてみて下され!拙者は大広間へ向かいますので!」
「俺にやらせるだけじゃなくて、家臣達にもやらせろ!」と遠回しに景綱に伝えてから、大広間へ向かった
そんな六三郎が大広間に到着すると
「柴田殿!柴田殿が提案してくれた、「毛皮作りは領民達に任せる」が、見事に成功しましたぞ!見てくだされ!縦横三尺ずつの小型の毛皮が六枚、
縦横四尺ずつの毛皮が三枚もありますが、どれも獣臭さがありませぬ!やはり、慣れ親しんだ者達に任せる事こそが失敗を減らせるのですな!」
伊達政宗のテンションがとても高かった。そんな政宗を見た六三郎は
「伊達殿、少しばかり確認させていただきます」
そう言って、ファーの匂いを確認すると
「確かに、獣臭さは無くなっておりますな」
綺麗さっぱり獣臭さが無くなっている事に驚いていた。そして、縦横四尺のベスト風毛皮にも獣臭さが無くなっていた。その様子を受けて信長から
「六三郎も藤次郎も、獣臭さが無くなっている事は確認出来たであろう。そろそろ畿内で販売する為の値を決めようではないか!」
販売する場合の値段決めの話し合いを求める。信長の一声に、六三郎も政宗も冷静になると、先ずは政宗が
「右府様!拙者としては、小型の毛皮ですが、武田家のワイン一樽と同じ値で売りたく!それこそ、一枚三貫は最低限で!中型の毛皮は一枚四貫を最低限にしたく!」
ファーを一枚三貫、ざっくりとした現代換算でおよそ四十五万円、ベスト風は一枚四貫、およそ六十万円と中々の強気な値段設定をしていた
それを聞いた六三郎は
(いくら畿内に公家とか商人とかの比較的富裕層が多いとは言え、単品でその値段は強気過ぎないか?万が一にも売れ残りが出たら相当なダメージになるんだから、セット売りを提案してみるか)
セット売りを提案する事を決めると
「大殿、そして伊達殿!拙者としても、一つ一つの値の設定は、それで良いと思いますが、万が一にも売れ残りが出る可能性を防ぐ為、二つ一組で販売する事、
そして、その場合の値の設定に関して、小型の毛皮を2つ買う場合は五貫、中型の毛皮を2つ買う場合は七貫、小型と中型で2つ買う場合は六貫半で売る事を提案させていただきたく!」
それぞれの二個一での値段を提案していた。更に、
「それから、もしも冬の季節が終わる手前になっても売れ残っていた場合、どこまで値下げして良いかも決めておくべきかと存じます!」
「値下げ幅も決めておこう!」と六三郎は提案する。それらを聞いた信長は
「成程、万が一を考え二の手、三の手を考えておるか。三介と三七の時もそうであったが、六三郎は商いまでも戦と考えておったな
良かろう!藤次郎、売値に関してはお主の提案を採用する!じゃが、売り方に関しては六三郎の提案を採用する!
そして万が一にも売れ残りそうな時は、半分の値で売る!それで良いな?」
「「ははっ!」」
値段は政宗、売り方は六三郎と言う両者を立てる方法で販売する事を決めた。




