冬の熊は強くて怖い筈だが赤備え達は
信長の命令を受けた六三郎は、赤備え達の元に行き、熊退治に出陣する事が決まった事を伝えると
「殿!遂に猪や鹿よりも大きな獣を退治出来るのですな!」
「これは楽しみで仕方ない!」
「どれ程の強さか、楽しみじゃ!」
何故か、恐怖よりも戦える事に盛り上がっていた。そんな赤備え達に六三郎は
「待て待て待て!熊がどれ程の大きさなのか、攻撃の方法も分からぬ中では、即座に攻撃する事は危険じゃ!伊達殿や領民の者達から、話を聞いてからじゃ!」
「熊の大きさや攻撃方法が分からないから、無策で攻撃するな」と宥めたが、内心は
(なんで皆、そんなに戦いたいんだよ!大殿の命令だから動くけどさ、熊は一歩間違ったら銀次郎や新左衛門みたいな180センチ越えどころか、
2メートル越えの化物も出る可能性があるんだぞ!頼むから、某世紀末マンガの様に「ヒャッハー!」なテンションで動かないでくれ!
こんな場所で大怪我しました、もう出陣出来ません!なんて事にはしたくないんだから!)
赤備え達に大怪我を負って欲しくない気持ちだった。そんな六三郎は
「とりあえず、全員甲冑を着て、伊達殿の元へ行こう!準備せい!」
「「「「ははっ!」」」」
全員に甲冑を着用する様に命令し、自身も着用する。そして全員が甲冑を着用した事を確認すると
「それでは伊達殿の元へ行くぞ!」
「「「「ははっ!」」」」
政宗の元へ向かう。到着した六三郎達を見た政宗は
「おおお!やはり、赤備えの方々を遠くで見るのと近くで見るのでは、迫力が桁違いですな!屈強な体躯の武士ばかりじゃ!
小次郎、小十郎、藤五郎!儂達の兵達も、この様に鍛えて行こうではないか!」
「「「ははっ!」」」
近くで見る赤備えの迫力にテンションが上がっていた。そんな政宗に六三郎は
「伊達殿。熊退治の際、気をつけておくべき事は何でしょうか?我々、猪や鹿ならば退治した経験は有るのですが、熊に関しては「猪や鹿よりも大きい」くらいしか知らぬので、教えてくだされ」
熊退治に必要な事を質問する。六三郎の質問に政宗は真剣な顔になり答える
「それでは。基本的に熊は餌が少なくなる冬は、それまでに大量に餌を食べ、穴に籠って春になるまで寝ているのですが、
偶に餌を大量に食えずに動き回る眠らない熊が居るのです。我々地元の者は、「穴持たず」と呼んでいるのですが、その穴持たずは、空腹の為、気性が荒々しくなっております
基本的に木の実や野兎などの小さい動物を食べる熊も、穴持たずの場合は人を食べる事も稀にあるそうですので、いつもならば各村に居る猟師が退治するのですが
此度は、その猟師が腰を痛めて動けないそうです。そんな状況では、穴持たずが村人全員を襲い、喰われてしまうかもしれませぬ
そんな穴持たすは大体、身の丈が大きいのです。それこそ、土屋殿と原殿と同じくらいの身の丈の場合も有り得ます。拙者が幼い頃に亡き父上から聞いた話だと
六尺五寸くらいの穴持たずも居た時もあったそうで、その時は、伊達家は勿論、敵対していた家の協力もあって、やっと退治出来たそうです、
そんな熊ですが、前足の爪と牙による噛みつきが主な攻撃方法です。そして、熊の猪や鹿との最大の違いですが
猪や鹿は弓や刀や槍で刺したり切ったりしたら、倒せますが、熊は毛皮の下に厚い贅肉が多く有るので、弓や槍や刀だと、数多く攻撃しないといけませぬ!
種子島で攻撃する場合も、腹を攻撃する場合は数多く撃たないといけませぬ!一撃で仕留める事が出来るのは、眉間を撃ち抜く事だけです!
とまあ、これが熊退治で気をつけるべき事ですな。一人で退治する事は種子島を大量に所持していないと不可能です
改めてですが、各々方!協力のほど、よろしくお願いします」
「「「よろしくお願いします」」」
政宗は説明し終えると、六三郎達に頭を下げ、小次郎達も頭を下げて頼み込む。その様子に六三郎が
「伊達殿、そして皆様方。頭を上げてくだされ。一通り説明を聞いて、手強い相手だと分かりましたが、我々は足手まといにならない様に努めます」
頭を上げさせたうえで、足手まといにならない様に気をつけると伝える。六三郎の言葉に政宗は
「忝い」
そう返答すると
「それでは熊退治に出陣じゃあ!」
「「「おおお!」」」
六三郎達を連れて、熊退治に出陣した。熊退治の軍勢が出発した頃、屋敷内に残る信長の元に
「右府様。息子達は、ご迷惑をおかけしておりませぬか?」
義姫が訪れていた。義姫に質問された信長は
「義殿。藤次郎も小次郎も、伊達家の為、領民の為に奮闘しておる。良く出来た息子達じゃ!安心なされよ!」
政宗と小次郎が出来た息子だと褒めて返した。その直後
「しかし、義殿。藤次郎の娘を、六三郎の嫡男に嫁がせたいと息巻いておるそうじゃが、何故そこまで中央の者との繋がりを強くしたいのじゃ?
こう言ってはなんじゃが、陸奥国の南に位置する常陸国の佐竹家も孫娘を嫁がせるには、充分な家だと儂は思うぞ?何かしらの理由があるのであれば、聞かせてくれぬか?」
六三郎の嫡男、甲六郎に政宗の長女、五郎八姫を是が非でも嫁がせたい理由を教えてくれと伝える
信長の言葉に、義姫は
「分かりました。お話させていただきます」
その理由を話す事を了承する、伊達家の発展の為以外の理由とは、一体?




