伊達家と佐竹家の言い争い
伊達家一行が来た事で、とりあえず小麦粉回収を終えた六三郎達は、義宣が政宗達を水戸城へ案内した。そして事情説明を行なってから、信長と父の義重に大広間に来てもらった
大広間には既に準備万端の政宗、小次郎、景綱、成実が待ち構えていた。そんな大広間に最初に義重が入って来て、下座に座り、最期に信長が入って来て上座に座る
信長が座ると大広間に居た全員は、平伏する。ちなみに六三郎は、義重の真向かいの下座に座っており、
(あの〜、これは伊達家と佐竹家の軽いイザコザですよね?そして、そのイザコザを治める為に大殿が居るのは分かるのです
なら、俺はこの場に居なくても良いと思うのですが?それこそ大殿の側に蘭丸くんを含めた面々が居たら大丈夫だと思うのですが)
そんな事を内心思っていたが、それを口どころか顔にも出さずに、座っていた
六三郎がそんな事を考えていると信長から
「面を上げよ」
声がかかり、全員が顔を見せる。政宗達の顔を見た信長は
「伊達家の者達、甲斐国での武田勝四郎の元服の時以来じゃな!変わらず壮健そうで何よりじゃ!」
軽い挨拶から始めた。信長の挨拶を受けた政宗は
「右府様、ありがたきお言葉にございます。我々伊達家は、毎日身体を鍛えておりますので、日々壮健にございます」
伊達家全体で壮健であると返す。政宗の言葉を聞いた信長は
「それは良い事じゃ。これからも怠るでないぞ。さて、それでは本題に入るが、伊達藤次郎。お主達が常陸国に入って来た理由は、
「儂達に早く領地へ来て欲しいから」で間違いないのじゃな?」
本題に入ると同時に、政宗に常陸国へ入って来た理由を質問する。政宗は信長の顔を見据えて
「その通りです!失礼ながら右府様は、以前届けてくださいました文にて、「葉月のうちは佐竹家の領地で少しばかり働く事になった。
長月になったら、出立して神無月には到着出来る様にする」と仰っておりました!ですが、長月の中頃になっても、
右府様御一行は陸奥国と常陸国の境にも現れないと、家臣から報告がありましたので、これは佐竹家が右府様御一行に無理難題を言って、常陸国内に止めているのかもしれないと思い、お迎えにあがりました」
遠回しだけどはっきりと、「佐竹家がいらん事して、信長達が動けない様にしたに違いないと判断したから迎えに来た」と言い切る
その言葉に義宣は
「伊達殿!それは言いがかりじゃ!!我々佐竹家は、右府様の了承の元、領地の農業改善の為に柴田様から指導を受けておっただけじゃ!我々が無理難題を言って右府様御一行を止めていたわけではない!」
「自分達が無理難題を行って止めたわけではない」と反論する。しかし政宗は
「農業改善の指導ならば、紙に書いて残しておけば良いではないか!!それに先程見た、何やら食べる物を運ぶ事に柴田殿や赤備えの方々を使っていた時点で、
右府様御一行を良い様に使っておる証じゃ!それに、長月も終わりに差し掛かっておるのに、何故まだ右府様御一行は常陸国に居るだけでなく、
出立の御準備もなされておらぬ?これは佐竹家が右府様御一行を止めておるからではないのか!?違うのか!?何か言ってみよ!」
「指導内容を紙に書いておけば良いだろ」と、至極当然な指摘をする。しかし義宣は
「伊達殿、甲斐国の見事な葡萄畑を伊達殿も目の当たりにしたであろう!我々佐竹家は、あの葡萄畑を作る為に必要な色々な事を、柴田様に指導を受けながら、
身を持って覚えておるだけじゃ!そもそも、あれ程の見事な畑は、日の本でもそうそう無い!それに柴田様からも一朝一夕では完成しないと教えていただいたので
領民を巻き込んで、柴田様の指導を広めておるのじゃ!これは右府様のお許しを得て実施しておる!伊達殿にとやかく言われる筋合いは無い!」
「時間がかかると六三郎が言ってるから、領民にも広めているし、信長からも許可をもらっているから、お前らが口出しするな」と反論する
2人の言い争いに、伊達家の3人は顔が真っ青になり、佐竹家では父の義重が天を仰いでいた
そんな状況で信長は
「伊達藤次郎と佐竹次郎!そこまでにせんか!!」
一喝して言い争いを止める。信長の声に2人は
「「申し訳ありませぬ」」
冷静になり、頭を下げた。2人が落ち着いた事を確認した信長は
「お主達の言い分は、どちらも間違っておらぬ。だが農業指導が大丈夫かどうかは、儂には分からぬ!六三郎、お主から見て水戸城周辺の農業改善は充分か?
充分であるなら、明日か明後日にでも常陸国を出立しようと思う。だから答えよ」
「農業改善の進捗次第で出立するけど、それは六三郎次第だ」と、とてつもない無茶振りをして来た
振られた六三郎は
(ちょっと大殿!!何で俺に決定権を委ねるんですか!大殿が、「それでは出立するか」と言えば済む話じゃないですか!
チクショー!これ絶対、大殿は狙っていただろ!これは、どうやって両家に角が立たない様にしたら良い?
教えられる事は全部教えた筈だし、そろそろ陸奥国にも行きたい!それを上手くまとめるには、これだな)
内心パニックになっていたが
「大殿、拙者としては次郎殿や家臣の皆様、そして水戸城周辺の百姓の方々には基礎的な事は全て教えたと思ってあります。そこで次郎殿」
「は、はい!」
「最初に話したが、此度の指導の結果が出るのは米が来年、葡萄とワインは再来年の話になる。なので、その間は家臣の皆様、百姓の方々と共に頑張って、
米を豊作に導いて、完成したワインを大殿や殿へ送り、そこで次郎殿が皆と共に頑張ったどうかを判断しようと思う。頑張ってくださると期待して良いですかな?」
義信の気持ちを刺激する言葉を伝える。六三郎の言葉に義宣は
「はい!柴田様の御期待に応えられる様、家臣と領民と共に励みます!」
頑張る事を宣言した。義宣の言葉を聞いて六三郎は
「大殿、陸奥国へ出立しても大丈夫の様です」
「陸奥国へ行きましょう」と信長へ伝えると、信長は
「うむ。それでは、明後日にでも出立するとしよう。佐竹常陸よ、良き倅じゃな」
「右府様、勿体なきお言葉です。ですが、少しずつ、確実に、家督を継ぐ心構えが出来ている様で嬉しいかぎりです」
義重と義宣について会話する。こうして、やっと常陸国を出立する目処がついた。




