里見家が家督相続に信長と六三郎を呼んだ理由は
天正二十二年(1594年)五月二日
安房国 里見家屋敷
場面は少し戻り、5月の初頭の安房郡の里見家屋敷。里見家嫡男の里見太郎が里見家の家督相続の儀を行なう場面から始まる
「右府様!播磨守様!里見家の家督相続の儀にご来席いただき、里見家一同、御礼申し上げます!」
「「「「御礼申し上げます!」」」」
皆さんおはようございます。安房里見家の皆さんから、挨拶をされております柴田六三郎です。挨拶の中で、里見家の家督相続の話が出ておりますが、
本来なら、到着した前日に執り行う予定でしたが、赤備えの皆かボロボロ過ぎたので、翌日に延ばして今日に至る事になりました
そんな太郎くんですが、勝四郎くんや勝之尉くんとは違い、既に元服していて、里見太郎義安と言う名前があるのです
確か史実だと、諱が「義安」ではなく「義康」だった気がするのですが、この世界線では義安だから良いか!ぐらいの感じですので、スルーしていたら、
「柴田様!誠に失礼ながら、柴田様の諱に使われております「勝」の字を、里見家の通字である「義」の下に使わせていただきたいのですが、よろしいでしょうか?」
なんて事を言いながら、平伏して来たのです。俺としては、別に構わないんだけど、一応理由を聞いてみるか
「里見殿、何故、「勝」の字を使いたいのですかな?既に安房国の「安」が使われているのに、その理由を聞いてもよろしいかな?」
俺の質問に太郎くんは
「はい、「勝」の字を使わせていただきたい理由ですが、武田家当主の勝四郎殿の立派な振る舞いを見て、少しでも柴田様にあやかりたいと思ったからであります!」
勝四郎くんの様な立派な当主になりたいと言う気持ちと、俺にあやかりたいと言う思いで「勝」の字を使いたいとの事でした。マジで、しっかりしてるなあ!
俺は十九歳や二十歳の頃なんて、出陣して無茶苦茶してたぞ?面倒事は親父に丸投げしてたし!
でもさ、これも確認しておかないとな
「里見殿。お父上は何か言っておらぬのか?前年に亡くなったと聞いたが」
「父上は、こう言ってくださいました。「この安房里見家も、源氏の血筋の、新田義俊公を祖とする武家のひとつじゃ!
そして、里見家の通字である「義」の字を諱の上に置く事は義俊公から代々続いておる慣習でもある!だから太郎よ、「義」の字を上に置くのであれば、下の字は何を使っても良い」との事です
なので、亡き父上も了承してくれるに違いありませぬ。父上は体調が思わしくない時でも、
拙者へ、「出陣して武功を挙げながら、天下統一が出来る家と、その家の家臣の中でも、お主と歳が近い者で敬意を持てる者が居たのであれば、
身内になれる様、縁を強くする様に努めよ!」とも言っておりました。だからこそ拙者は、柴田様のお身内の姫君を嫁に迎えたいのです!」
うん、重い!里見家の祖が平安時代の終わりか鎌倉時代の初期の新田家の庶流とか、歴史が長い事もあって重いです!
でも、そんな由緒も歴史もある里見家が、柴田家みたいに先祖がどんな人かも分からない家の字を使わせてくれと、頭を下げているんだから、使ってもらおう!
「里見殿、分かりました。「勝」の字を、「義」の下に置いてくだされ。諱が「義勝」となれば、拙者の父方の祖父と同じになるのも、何かの縁でしょうし」
俺のこの言葉を聞いた太郎くんは
「柴田様!今のお話、誠ですか!?柴田様の父方の祖父という事は、あの「鬼柴田」と呼ばれております柴田越前守様のお父上!
きっと厳しくも素晴らしい子育てをしたから、拙者の様な若造でもその名を知る猛将になり、その越前守様の嫡男の柴田様は、更にとてつもない名将になられたと!
柴田様!明日の家督相続の儀で、この事を家臣達の前で話してもよろしいでしょうか?」
とても興奮しながら、この話をする為の許可を求めて来た。単なる名前の一致やかぶりだし、まあ良いか。もしかしたら「古臭い」なんて文句が少しは出るかもしれないし
「ええ。構いませぬ。拙者が産まれた時には、父方も母方も既に祖父母が亡くなっていたので、具体的な話は分かりませぬが、それで里見家がまとまるならば」
了承すると、太郎くんは
「柴田様!忝うございます!明日、きっと里見家は盛り上がりますぞ!それでは失礼します!」
そう言って、俺の部屋を出て行きました。ここ迄が前日譚と言っても良い内容なのですが、俺の予想が大きく外れました。それは、太郎くんが諱の変更を伝えた時です
「皆!儂は此度の家督相続を機に、諱を変える!今までは「義安」であったが、これからは「義勝」と変える!変える理由として、
ご来席いただいた柴田播磨守様の諱の「勝」の字を使わせていただく許可を求めたところ、なんと!この「義勝」と言う諱、播磨守様の父方の祖父と同じであると教えていただいた!
日の本随一の名将の呼び声高い播磨守様の祖父と同じ諱とは、これから里見家が大きくなるきっかけになるじゃろう!だから、これから儂は「里見太郎義勝」として里見家と領地を守りながら、発展させていくぞ!」
この太郎くんの決意の言葉を聞いた家臣の皆さんは
「うおおお!若様、いや、殿が見事な決断を!」
「亡きご先代様も喜んでおられましょう!」
「里見家が大きくなると、殿が宣言なされた!」
「「「万歳!万歳!万歳!」」」
とても盛り上がっておりました。これ、太郎くんの「里見家を発展させていく」宣言が理由ですよね?諱はあまり関係ない!と思う事にします
そんな空気がひととおり落ち着いた頃、大殿が再び里見家を盛り上げる発表をしてくれました。それは
「さて、里見家の者達!此処で大変喜ばしい発表を行なうから、しっかり聞く様に!皆も知っているであろうが、
前年に関東で北条家の内乱を鎮める戦に出陣したが、その戦における褒美として、我々織田家は里見家を始めとした臣従した家への褒美としての領地割譲を、北条家に求めた!
そこで、里見家への褒美としての領地じゃが、上総国の南側半国、およそ十九万石を割譲するとの事じゃ!」
里見家の新たな領地発表でした。これを聞いた里見家の皆さんは
「上総国を半国とはいえ、里見家が手に入れた!」
「長年里見家に仕えて来たが、今日ほど嬉しい日は無い!」
「これも亡きご先代様と殿が、覚悟を持って決断したからに違いありませぬ!」
と、涙を流しながらもテンションが爆発するという不思議な盛り上がりになりました
そして、最期に太郎くんから
「皆!恐らく上総国の者達は、素直に里見家に臣従しない可能性が高い!それでも織田家より拝領した領地じゃ!歯向かう者は、戦で叩くぞ!」
「「「ははっ!」」」
新たな領地の反抗勢力に関する方針が発表された。その後で、家臣の1人から
「殿!新たな領地の平定も重要ですが、殿の嫁取りも重要ですので、何卒早くお願いしますぞ!」
「早く嫁をもらえ!」と言われましたが、太郎くんは
「その事じゃが、播磨守様の親類の姫君をお頼みしますと頼んでおる!もしも話が早くまとまれば、二年以内に嫁が決まるかもしれぬ!改めて、播磨守様!よろしくお願いします!」
そう説明しながら、俺に頭を下げた。それを見た家臣の皆さんも
「「「「播磨守様!よろしいお願いします!」」」」
と、俺に頭を下げて来た。この様子に大殿は
「はっはっは!六三郎よ、領地に戻ったら休む暇も無く太郎の正室を探さないといかぬな!」
大笑いしておりました。まあ、大殿は最悪の場合どうにかするけど、基本的には俺がジタバタしないといけないから、仕方ないですね
色々あったけど、とりあえず太郎くんの家督相続の儀は、これにて終了です!
次は常陸国の佐竹家か〜、「孫の顔を見てくれ!」かリクエスト内容だから、早めに移動出来る様に神頼みしておこう
※六三郎の神頼みは悪い方向へ叶います。
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