走る馬車を見た信長は
新年明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。
大晦日の浜松城の城下町を世にも珍しいを通り越して、日本史上初の馬車がゆっくりとはいえ走る事になったが、目を引く大きさと、
家の様な屋根付きなのに、荷車の車輪があり、馬の力で引いて動いている。それを見た町民達は
「おお!何だい、あれは?」
「徳川様が面白い物を作ったみたいだな!」
「見た目は大きくて豪華だけど、材料は俺達でも準備出来そうだな!」
「あの大きさなら、女子供なら五人くらい入れそうだねえ」
と言った、感想を口にしていた。そんな声を聞きながら、城下町を進み終えて浜松城へ戻ろうとしていた時、
「徳川家の家臣達!!」
馬を操る小五郎と藤十郎が呼ばれた声に振り向くと、そこには
「う、右府様!」
「御到着なされたのですか!」
信長と恒興達が居た。馬車を見た信長は、湧き立つ好奇心を抑えられず、急いで馬を馬車の元へ向かわせる。恒興達も慌てて信長の後をついていき、
馬車の前に到着すると、小五郎と藤十郎は扉を叩いて
「勝之尉様!本多様!織田右府様一行が到達なされました!今、目の前に居ます!」
中の2人に事の次第を説明した。2人は慌てて外へ出て、信長へ平伏したが、信長は
「気にせず、立ってくれ!それで、この牛車に似て非なる物は何じゃ?また、六三郎が面白い事を考えて実行したのか?」
馬車の事を聞き出す。忠勝が代表して大まかな説明をすると信長は
「やはり六三郎が。あ奴は何故、これ程の面白い事を儂に伝えぬ!少しばかり、懲らしめてやらねば!」
六三郎が自分に馬車の事を教えない事を、少し不愉快な感じを見せつつ、悪巧みを考える笑顔になっていた
そんな信長は康勝と忠勝の2人に
「二人共、これに儂も乗って六三郎を驚かせたい!協力してくれるな?」
六三郎へプチドッキリを仕掛けるから馬車に乗せてくれと頼む。勿論2人は
「「は、はい。お乗りください」」
としか、答えられないので、信長と蘭丸の2人を乗せた合計4人が馬車に乗り込む事になり、そのまま浜松城へ戻る事になった
そして、浜松城内へ入ると家康が
「小五郎と藤十郎、先ずは何事も無く終える事が出来た様じゃな!見事じゃ!」
無事故で終了した小五郎と藤十郎を褒める。褒められた2人は
「「勿体なきお言葉にございます」」と返事をしてから
「六三郎殿。申し訳ありませぬが、扉を開けてもらえませぬか?緊張し過ぎて、腕に力が入らぬのです」
六三郎に馬車の扉を開けてくれと頼む。頼まれた六三郎は
「はい、よろしいですぞ」
何の警戒もせずに、扉へ向かい、躊躇いなく開ける。扉が開いてすぐに
「六三郎!こんな面白く快適な物を、儂に伝えぬとはどう言うつもりじゃ!」
信長が飛び出る。いきなりの信長の登場に六三郎は
「うおっ!お、大殿!」
思わず、後ずさりした。後ずさりしながらも、顔は驚いた状態だったので、それを見た信長は満足したのか
「その顔を見て、少しばかり気分良くなったから、許してやろう!改めてじゃが、二郎三郎!遅くなって済まなかった!
たわけ者の六三郎を少しばかり懲らしめてやりたくて、この様な手法を取らせてもらった。驚かせて申し訳ない」
家康に挨拶と謝罪をしていた。そんな信長に家康は
「いやはや三郎殿、驚きましたぞ!しかし、六三郎殿が馬車と仮に名付けた物に四人も乗っていたとは、窮屈ではなかったのですか?」
使用感を質問した。家康の質問に信長は
「勝之尉殿と本多平八郎の様な、屈強な体躯の男四人は無理じゃろうが、儂とお蘭の様な細身の男二人ならば、屈強な体躯の男と合わせて四人は乗れるじゃろう
まあ、馬が疲労困憊になる可能性は高いが、三頭立てにしたら、馬もそれ程疲れぬかもしれぬな。それでじゃが二郎三郎よ、この馬車とやらを提案したのは、六三郎で間違いないのか?」
使用感と改善案を出してから、馬車を提案したのは六三郎なのかと質問する。家康は
「そうですぞ。何やら、三郎殿と共に行く長旅の為に考えて、作った様でしたな」
サラッとネタバラシをする。それを聞いた信長は
「六三郎、色々と言いたい事があるが、とりあえず二郎三郎、城の中に入って良いか?」
六三郎に色々言いたい事を抑えつつ、浜松城の中へ入らせてもらった。浜松城の中に入ると信長は
「さて、六三郎よ。あの馬車とやらを作った理由を申してみよ!ただの道楽ではあるまい」
大広間で六三郎に対して、質問を開始した。信長からの質問を受けた六三郎は
(ええ〜?そんなの大殿に万が一の事が無い為です。としか、言い様がないんだけど?まあ、前例として親父の事を出してみるか)
「はい。これから東国の中でも、寒さ厳しい奥州へ向かうので、大殿に父上の様な事があってはならぬと思い、寒さ対策として馬車を提案し、職人の方々と作りました」
勝家が冬の越後国で倒れた前例を出した上で、信長に寒さ対策の為の馬車だと説明した。六三郎の前例を聞いた信長は
「そうか、権六の様に倒れぬ為の馬車か」
納得した表情を見せるが
「六三郎、お主の気持ちはありがたい!だが、お主が失念しておる事がある。それは、東国の殆どの道がまともに整備されておらぬ事じゃ!」
馬車の致命的弱点を伝える。伝えられた六三郎は
「申し訳ありませぬ。北条家の小田原城周辺の様に、整備されていると思っておりました」
正直に失念していた事を伝える。六三郎の言葉に信長は
「まあ、権六の件もあったから、儂の身体を気遣ってくれたのじゃ。とやかく言わぬが、六三郎よ。あの馬車とやら、京でも作れるのか?」
六三郎を責める事はなかったが、代わりに馬車を京で作れるのかと質問すると、六三郎は
「はい、馬車は元々、使わなくなった荷車を解体して、1から職人の方々と作り上げたので、荷車や木材が揃えば同じ物は作れるとは思います。出来に関しては職人の方の腕次第になりますが」
「材料があれば、誰でも作れる」と答える。それを聞いた信長は
「誠か!!ならば、公家共に最新の乗り物として、売り込む事も可能じゃな!くっくっく、これも神戸家に続く京での儲けになるじゃろうな」
京で走らせて儲ける青写真を頭の中で描いていた。そんな信長に六三郎も家康も何も言えないまま、六三郎への質問は終了し、信長達が浜松城へ滞在する事になった。
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