祝言の日の翌日に慶事が伝わると
天正二十一何(1593年)十一月十二日
遠江国 浜松城
「勝之尉様に嫁いだ事により、これから徳川右少将様を義父上とお呼びします」
「竹姫殿を嫁に迎えた事により、最上出羽守様を義父上とお呼びします」
「うむ。勝之尉の事、よろしく頼むぞ竹姫!」
「婿殿!竹の事、よろしく頼むぞ!」
「勝之尉!立派じゃぞ!」
「竹!いつも以上に綺麗じゃ!」
「姉様!美しいです!」
皆さんおはようございます。本日、勝之尉くんと竹姫の祝言の場に出席しております柴田六三郎です
いやあ、何の仕事も無い祝言って気楽で良いですねえ。源三郎様と勝姫、銀次郎と次の時は、大殿から「派手な物を作れ!」と言われて、睡眠時間を削って
ちょっと工夫したウエディングケーキを作って、その結果、その日は疲れて寝ていた記憶がありますから、本当に、何もしないって良いですねえ
で、祝言も終わりに近づいて来ていた頃に、進行役の井伊殿から
「さて、皆々様!祝言もお開きに近づいておりますが、此処で織田家より祝いの品として贈呈された三年熟成のワインを、殿より呑んだいただきたいとの事です
そして、そのワイン樽を開き、振る舞う事を、勝之尉様と竹姫様の最初の夫婦共同作業としていただきたいとの事です。それでは、ワイン樽を持って来てくだされ!」
ウエディングケーキ入刀ではなく、鏡開きをやる様です。あやふやな記憶だと出陣前にやる事の様な気がするのですが、
それを祝言の場でやろうと家康が考えたのか、それとも他に考えた人が居たのか、少しばかり疑問に思いましたが、まあ、あまり詮索するのはやめておこう
で、そんな事を考えたいたらワイン樽が2人の元に届けられて、木槌を渡して、2人で木槌を握って振り下ろすと
バカン!
見事な音と同時に、一発で樽の蓋が開く。そこから俺含めて出席者にワインか振る舞われる。全員に行き届いた事を確認した進行役の井伊殿から
「それでは、皆々様にワインが行き届きました様ですので、勝之尉様!皆々様へ何か一言お願いします」
勝之尉くんへ、「何か一言お願いします」という無茶振りが来ましたが、勝之尉くんは慌てる事なく
「え〜、それでは。簡潔に祝言を締める言葉として、六三郎様や武田家の皆様から教わったワイン作りで注意すべき事の、
「作り方は簡潔だが、毎日見て、手を加えないと駄目になる」の言葉を竹とのこれからの関係に当てはめ
毎日、竹の事を大切にする事を誓うと同時に、皆々様がこれからも壮健に過ごせる事を願いたいと思います!それでは、乾杯!!」
見事な言葉を伝えて、乾杯を促す。勝之尉くんの言葉を聞いて、全員がワインを呑む。そのワインの美味さを含めた色々な事に
「二年熟成の物とは別格の美味さじゃ!」
「香りも別格じゃ!なんと芳醇で芳しい!」
「やはり、これは領地でも作りたい!」
テンション高めの感想が出ていました。そして、祝言の最期に家康から
「それでは各々方。祝言もお開きに近づいている中で、勝之尉に与える領地の発表をしたいと思います。勝之尉が治める領地は、信濃国とします」
勝之尉くんの領地は信濃国と発表されました。マジで?だって、信濃国は確か40万石くらいの領地で、三郎殿が治める三河国は30万石くらいの領地だったはず
え!?これ、兄弟喧嘩とか起きないか?それとも嫡男交代とかじゃないよね?徳川家のトラブルとか巻き込まれそうで怖いのですが?
六三郎がそんな事を考えていると家康から
「さて、此処で少しばかり徳川家の領地について発表したいと思います。先程、勝之尉の領地を信濃国と発表しましたが、
それに伴い、現在三河国を治めている三郎へ三河国と遠江国を任せる事にし、儂を含めた者達は駿河国へ移動し、そこから伊豆半国を発展させる事に注力する事に決めましたぞ
そこでじゃが、六三郎殿。この事を三郎殿と勘九郎殿へ伝えてくだされ。よろしく頼みますぞ」
主な内容が発表されて、六三郎へその事を信長と信忠へ伝える様、頼むと六三郎は
「ははっ!」
返事をした。そして、最期に家康から勝之尉と竹姫へ
「勝之尉。いきなり国を治める事は大変じゃろうが、一度に全ての事をやろうと思うでないぞ?お主の師の様な立場の六三郎殿は、
ひとつひとつの事を丁寧に行なった結果、領民達から慕われる領主になったのじゃ。お主もそれを真似して行け
そして竹姫、見知らぬ土地で大変だとは思うが、勝之尉の事を支えてやってくれ」
締めの言葉を送っていた。こうして、温かい雰囲気で勝之尉と竹姫の祝言は終了した
翌日
「さて、無事に勝之尉殿の元服、そして勝之尉と竹姫殿の祝言も終わった。あとは赤備え以外の面々は玄蕃の兄上と共に播磨国に行くだけじゃな
まあ、父上と母上から「まだ帰って来ないのか?」と叱責されそうじゃが、大殿と一緒に行動していると言えば、納得してくれるじゃろう
改めてですが、玄蕃の兄上。皆の事、よろしくお願いします」
「うむ。任せておけ!最上家の方々も居るのじゃ。気をつけて行かぬとな」
皆さんおはようございます。勝之尉くんと竹姫の祝言の翌日に、皆へ挨拶をしております柴田六三郎です
数日後に出立するので、準備を促しているのですが、そこで、高代さんから
「六三郎様、この場で私からお伝えしたい事があるのですが、よろしいでしょうか?」
何やら発表がある様です。まあ、ダメだと言う理由も無いですし、聞きますか
「良いぞ。高代、伝えてくれ」
俺の了承を得た高代さんからの発表は
「実は、やや子を授かりました。約3ヶ月です」
妊娠発表でした。高代さんの発表を聞いた皆は、俺より早く
「万歳!!」
「高代様にもお子が!」
「殿に四人目のお子が!」
「誠にめでたい!」
とても盛り上がっていました。勿論、俺も嬉しいですから
「高代。なんとも喜ばしい発表じゃ!ありがとう!じゃが、その様な高代に長旅をさせる訳にもいかぬな、武田家に頼むとするか?それとも、、」
六三郎か悩んでいると、部屋の襖が開いて
「六三郎殿。勝之尉の元服と祝言に参加してくれた礼を言いに来たのじゃが、そこで話を聞かせてもらったぞ、
そこでじゃが、高代殿が安定期に入るまでは浜松城で預かろうと思うが、どうじゃろうか?」
家康から、しばらく高代を預かると提案された、家康からの提案に六三郎は
(マジで?それはメチャクチャありがたいけど、勝手な事は出来ないからなあ。仕方ない、大殿に文を送って判断を仰ごう
多分、「仕方ないから、好意に甘えとけ」とか言うと思うけど)
色々考えて、最終的に
「徳川様、大殿の了承が得られましたら、徳川様のお言葉に甘えたいと思います。なので、先ずは大殿へ文を送ります」
そう答えるに留めた。




