小松姫の相手は予想外のあの人で結果は
「さあ!どなたから、私の相手をしてくださいますか?」
小松姫はテンションが爆上がりの中、最初の相手を求めていた。その時だった
「新左衛門様〜!訓練を行なうなら、私も参加させてくださいよ〜!」
新左衛門の嫁の甲斐姫が、甲冑と長刀を持って到着した。それを見た新左衛門は
「か、甲斐。今は来てはならぬ!」
甲斐姫を止めようとしたが、一度決めた事は曲げない甲斐姫は、新左衛門のいう事など聞くわけもなく、あっという間に新左衛門の隣に陣取る
そこで甲斐姫は
「新左衛門様。私も訓練に参加したいと常に言っていたのに、置いてけぼりは寂しいですよ〜」
新左衛門に文句を言いながら、イチャイチャしだす。甲斐姫に対して新左衛門は
「甲斐、言わなかったのは済まない。だが、今は」
何とか城内に戻そうとする。それを見ていた小松姫が
「そこの女子!私が今から赤備えの方々と手合わせするのですから、邪魔をしないでください」
大声で甲斐姫に「邪魔だ!」と忠告する。そこで小松姫の存在に気づいた甲斐姫は
「新左衛門様や赤備えの皆様に対して、長刀を向けるとは。何とも無礼な!!新左衛門様や赤備えの皆様が相手をするまでもありません!私がお相手しましょう!!かかって来なさい!」
小松姫に「自分が相手になってやる」と宣言する。しかし、小松姫は
「あなたに用はありません!私は赤備えの方々と!」
甲斐姫との手合わせを拒否する。そんな小松姫に甲斐姫は
「あら!?殿方とは戦えるのに、女子同士では戦えないと?なんとも腑抜けた姫様ですねえ」
小松姫を煽る。煽られた小松姫はとうとう
「分かりました。そこまで言うのであれば、あなたにお相手願います!その前に名をお聞きしましょうか?」
甲斐姫と戦う事を決断する。そして、甲斐姫に「名を名乗れ」と言うと、甲斐姫は
「私は、柴田播磨守様の家臣、原新左衛門様の正室で武蔵国成田家の娘、甲斐です!あなたの名は?」
名前だけで良かったのだが、新左衛門の嫁である事まで名乗る。そこから小松姫にも自己紹介しろと伝えると
「私は、徳川家家臣本多平八郎の娘の小松です!甲斐殿!それでは!」
小松姫も自己紹介を返す。そして、2人の距離が少しずつ縮まって行き、とうとう
「「参る!!」」
小松姫と甲斐姫の長刀がぶつかり合う
カン!カン!カン!カン!カン!
5度、長刀がぶつかるが、どちらも武芸に自信がある為、状況は変わらない。しかし、時間が経つにつれて、少しずつ甲斐姫有利の展開になっていく。その状況に甲斐姫は
「小松殿!どうなされたのですか?押されておりますよ!」
小松姫を煽る。煽られた小松姫だが、言葉を返そうにも
「ハアッ!ハアッ!ハアッ!まだまだ!」
息も絶え絶えになっていた。そして、とうとう
「隙ありです!」
甲斐姫に長刀を叩き落とされ、そこで
「参り、ました」
小松姫が敗北を認めた。こうして若き女傑同士の戦いは、甲斐姫の圧勝に終わった。戦いが終わった後、甲斐姫は
「新左衛門様!私、頑張りました!」
新左衛門の元に戻り、再びイチャイチャし始める。一方、小松姫は父の忠勝の元へ行き、
「負けてしまいました。申し訳ありませぬ!」
大泣きしてしまった。娘の様子に忠勝は
「小松よ、上には上が居ると分かったであろう?」
小松姫をフォローする。しかし、小松姫は
「甲斐殿にあって、私に無かったものは何なのですか?父上、教えてください!!」
忠勝へ、自身と甲斐姫の差を問う。しかし、忠勝は
「それは、、、」
明確な差を分かっているが、口にする事が出来ない。そこで、小松姫と甲斐姫の差を口にする人物が居た。
それは
「実戦経験の差であろう」
「殿」
家康だった。小松姫と甲斐姫の明確な差を口にした家康は、甲斐姫の元へ行き、
「甲斐殿。見事な勝利であったな」
先ず、勝利を讃えた。家康の言葉に甲斐姫と新左衛門は
「「徳川様!無礼を働き、申し訳ありませぬ!」」
平伏して、いきなり戦った事を謝罪する。しかし、家康は
「良い。気にするでない。とりあえず立ちなされ」
2人を立たせる。立たせた後で甲斐姫へ
「甲斐殿。改めて聞きたいのじゃが、甲斐殿は、戦に出陣した経験があるのではないのか?」
甲斐姫へ出陣経験があるのかと質問する。その質問に甲斐姫は
「徳川様、私は出陣経験はありませぬ。ですが、実家の成田家の領地で、百姓に対して手出しした家臣や野盗を討伐する為の戦いの経験は有ります」
出陣経験は無いが、野党討伐の戦いの経験は有ると答える。甲斐姫の答えを聞いた家康は
「やはり。実戦経験の差が、此度小松姫が敗北した理由じゃろう。改めて、見事な勝利であったぞ。これからも精進しなされ
そして新左衛門よ。良き嫁をもらったな。大事にしないといかぬぞ。それでは、儂達は戻るとしよう」
甲斐姫を褒めつつ、新左衛門に甲斐姫を大事にしろと伝えて、忠勝達の元へ戻りながら、六三郎を見つけると
「六三郎殿、誠に六三郎殿の家臣達は面白いのう!家臣だけでなく、嫁まで強いのじゃから、きっと六三郎殿の嫡男が家督を継いだ時は、武辺者だらけになっておるかもしれぬな」
笑いながら、そう話す。家康の言葉に六三郎は
「徳川様、それはそれで倅の身の回りが安全ですが、領地の運営を考えると、理財も出来ないといけませぬので」
「脳筋ばかりじゃ困ります」と答える。それを聞いた家康は
「はっはっは!確かにのう。うむ、良い物を見せてもらった。ほれ、小松よ!再び甲斐殿に挑む時の為に、強くなって、経験を積む事に精進せよ!」
小松姫に発破をかけて、城内に戻って行った。この様な一悶着がありながらも、赤備え達は訓練を再開した。勿論、甲斐姫も参加しながらの訓練を行ない
浜松城の門が閉まるギリギリまで、身体を鍛えて、この日の訓練は終了した。




