赤備え達が日常生活をしていたら
勝之尉くんの元服の儀が終えて、今から宴会です!みたいな空気になったので、俺は一旦、部屋に戻って休む事にしたら、そこではまさかの
「奥方様!私共、大久保家の次女の作を若君の嫁にどうでしょうか?」
「奥方様!私共、榊原家の三男に姫君を嫁がせる提案を播磨守様にしていただきたいのですが」
「奥方様!私共、本多家の次男に姫君を嫁がせる事は出来ませぬか?是非とも、播磨守様にご相談を」
道乃と雷花と花江が、家康の家臣の奥さん達に縁談を持ち込まれていた。ここでも甲六郎と六花と六江は、かなりの人気の様です
徳川家も家臣が多いんだから、それぞれの家で縁組したら良いのに、何故か、柴田家に縁組が集中しております。まあ、柴田家だけではないのですが
なんなら、この人に縁組要請が集中しております。俺と同じく一時的に、大広間を抜けて来た最上太郎くんですが
「最上様!ご正室が決まっておられないのであれば、うちの娘など、どうでしょうか?」
「いえいえ、最上様!我が家の娘を嫁に!」
「いやいやいや!我が家の娘を!」
出羽国のほとんどを治めている大大名の嫡男が、20歳なのに、独身と聞いたら、そりゃあロックオンされるわな!
で、そんな太郎くんが俺に気づいて
「柴田様!良いところに来てくださいました!少し、お話があるので、よろしいですか!?」
走って俺のところに来たと思ったら、
「柴田様。縁組の話ばかりで辛いので、どこかへ避難したいのですが」
小声で避難したいと言って来た。仕方ないな
「それでは、太郎殿!拙者の家臣の赤備え達の訓練でも見に行きますか!気分転換に良いでしょう!」
俺はそう大声で叫んで、源次郎達が訓練に使わせてもらっている坂道に向かった。しかし、そこでは
「赤備えの方々は、この様な祝いの日でも身体を鍛える事を忘れないとは、見事な心がけじゃ!主君である播磨守様は大領をお持ちとの事、
ならば娘を赤備えの誰かに嫁がせても、暮らしに困窮する事も無いじゃろうな。どうにか出立前に娘と見合いをさせて、嫁がせたいのう」
「確かにのう。戦に出陣しても、播磨守様の鬼神の如き軍略の才から繰り出される策のおかげもあり、最前線で戦っているのに、討死が一人も居ないのじゃからのう」
徳川家家臣達が、赤備えの面々に対して「娘を嫁がせたい」という思いが口に出ていた。そこで特に目立っていたのが
「真田殿の次男の源二郎殿は、前線に出るだけでなく、弓矢での後方支援をやったり、調略を任される程だそうじゃ。これは、期待されているに違いない!」
昌幸の次男の信繁だった。家臣達も信繁が1番人気な事を分かっているから父の昌幸に対して
「真田殿。源二郎殿は嫁候補は居るのですか?」
「真田殿!拙者の娘と源二郎殿の見合いをしていただきたいのですが」
そんな中で、家康が坂道へ重臣達を連れて来た。赤備えの訓練を見て家康は
「流石、赤備え達じゃな。この坂道を余裕で走っておるだけでなく、その後も身体を鍛えておる。平八郎と小平太!お主達の息子は赤備え達の半分くらいは出来ておるか?」
忠勝と康政に「息子達はどれくらい出来るのか?」と質問する。家康からの質問に忠勝は
「拙者の嫡男の平八は走る事は出来ておりますが、四種の動きは、まだ二十回が限界ですし、次男の内記に関しては、走るのは一往復、四種の動きは十回が今の限界です」
息子2人はまだまだだと伝え、康政も
「拙者の嫡男の国千代も、平八郎の次男の内記と歳が近い事もあり、ほぼ同じです。次男の亀千代も同じく」
殆ど同じだと伝える。2人の答えに家康は
「まあ、最初はそれでも良い。少しずつ出来る様になれば良いからのう。勝之尉も幼い頃からやっておったしな。それに」
「年齢的にそれくらいでも良い」的な言葉で締めようとした所に
「平八郎様!!平八郎様は、何処におられますか!?」
忠勝の家臣が大声で忠勝を探す声が響く。その声に気づいた忠勝は
「儂は此処におるぞ!何かあったか!?」
自身の居る場所をアピールして、何事かと聞くと、
「小松姫様が、赤備えの方々に挑みたいとの事で、坂道に向かっております!しかも、武装して!」
娘の小松姫が、完全武装して赤備えの元に向かっていると伝えられる。それを聞いた忠勝は
「はあっ!?倅達は何をしておる!?止めなかったのか?」
「息子達は止めなかったのか」と聞くが、
「それが、若君達は前日の訓練で身体が動かない程、疲労困憊でして」
家臣から帰って来た答えは
「前日の訓練で動けなくなっている」だった。それを聞いた忠勝は
「縄で縛ってでも小松を止めよ!!倅達め、何とも情けない」
息子達の情けなさを痛感しつつ、小松姫を縛りあげてでも捕まえる様、命令する
そのやり取りを聞いていた六三郎は
(おいおいおい。史実では、戦国随一の鬼嫁であると同時に、嫁いだ真田家の赤字を改善した賢妻とも言われる小松姫が、赤備えの何に挑むんだよ?
これは、行かないとダメな案件だな。太郎くんも連れて行って、どうにか止めるしかないな)
どうにか止めるつもりだった。しかし、小松姫は一足早かった様で
「赤備えの皆様!私、本多平八郎の娘の小松と申します!どなたでも構いませぬ!私と手合わせ願います!」
坂道に到着して、赤備え達に戦いを待つ申し出ていた。それを見た父の忠勝は
「これ!小松!やめんか!」
小松姫を止めようとするが、小松姫は
「父上!!日の本随一の軍勢と称される、柴田家の赤備えの方々に挑める機会など、早々ありませぬ!なので、邪魔しないでください!」
引く気配が無い。そこに六三郎が到着すると、
「徳川様、本多殿、榊原殿。赤備えの皆ならば、上手くやりますから。好きにやらせてみましょう」
家康、忠勝、康政へ「好きにやらせてみよう」と言う。そこから赤備え達に
「皆!本多家の小松姫殿が、皆と手合わせを願っておる!怪我をさせずに、勝ちを掴んでみせよ!」
「小松姫に怪我を負わせずに勝て」と、少々無茶振りをするが、赤備え達は
「「「「ははっ!」」」」
いつも通りの返事をする。こうして、小松姫の挑戦がスタートした。




