寝る事すら許されない六三郎
「わっはっは!いやあ、織田家で作っておられる、ワインという酒は、熟成させた年月でこれ程の差が出るとは!
一年熟成の物で美味いのに、二年熟成させた物は更に美味い、これは確かに財源としては持って来いの物ですなあ!」
「確かに!しかも、織田右府様はその二年熟成よりも更に熟成させた物を於義伊様と竹姫様の元服と祝言の祝いの品として贈呈してくださったのじゃ!いやはや、何ともありがたい!」
皆さんこんばんは。徳川家と最上家の合同宴会に参加しております柴田六三郎です。徳川家の家臣の皆さんの会話で何となく分かると思いますが、
大殿、まさかの安土城へ殿のご機嫌取り用のワインを、於義伊くんと竹姫の祝言のお祝い品として俺達の荷物に入れておりました。いや、まあ、良いんです。慶事ですから
でも、そう言う大切な事は家康だけじゃなく、俺にも言って欲しいのですが?武田家の家臣の皆さんが、俺がワイン作りの時に、
熟成期間を樽に書くルールを決めた事を守ってくれたから、本番までは確保する事になったけど!ワインの事はこれで良いとしてですよ
最上家の皆さん、呑み過ぎ、いや、呑みまくりじゃないですかねえ?ワインも濁り酒もちびちび呑む物だと、俺は思うのですが、
何故ワインの一斗樽を10人くらいで空に出来るんですか?やっぱり、寒い地域である東北や北陸で生まれ育った人は酒に強くなるのか?
あ、でも暖かい地域である九州と四国も酒に強い人が多いイメージだけど、これは甲斐国以外でもワイン作りが広がって、そこから各地のクラフトワインとして
差別化されていくに違いないな。各地の酒と言ったら、焼酎も作りたいなあ、サツマイモの芋焼酎はクセ強で、香りがダメな人も居るらしいけど、
好きな人はとことん好きらしいし、色々やってみたいなあ。なんて、現実逃避をしております
何故なら、俺はこの場で織田家の代表ですから、休む事なんて出来ないんです!チクショー!さっさと休みたかったのに!
そんな俺の事を全く気にする素振りの無い、両家の皆さんのうち
「柴田殿!平八郎と小平太から、上杉との戦の話を教えてもらいましたが、まさか雪に攻撃させるとは!!」
徳川家の家臣が上杉との戦の話をすると、最上家の家臣は松田との戦の話をしだす
「各々方!柴田様が此度の戦で見せた策も、鬼手と呼べる策でしたぞ!お味方で偽の丘を作り出し、
その中に、全軍の硝石を詰めて、火矢で爆発させて土砂崩れを人為的に起こし、松田の軍勢を生き埋めにして、出て来た者達を全軍の足軽に討ち取らせてくださったのですから!
あれ程の壮大な策は、これまでの戦人生で見た事がありませぬ!それに、最上家に柴田様の家臣である原様が客将として松田に奇襲を仕掛けた時も、
松田の家臣達は、返り血で全身真っ赤に染まった原様を赤鬼と勘違いした者も居ましたから!」
それだけじゃなく、新左衛門の赤鬼に間違えられた人外エピソードも話している。チクショー、新左衛門を連れて来て、話し相手にさせておけば良かった!
俺の隣に居るのは源太郎と昌幸さんだから、この2人はなんだかんだで落ち着いているから、俺も変な心配事はない!そう思っていたのですが、
ここでまさかの人物から、俺の若気の至りを話して来たのです。その人とは
「六三郎様!右府様から教えていただいたのですが、毛利家との戦で、当時の公方に対して「阿呆」と言ったり、毛利を出し抜く為に十日で百里を走ったとは、誠なのですか?」
於義伊くんでした。大殿?俺、中国超大返しの事を話した覚えは無いのですが、どこで知りましたか?親父にも伝えてなかったのに!
大殿が知っているという事は、親父も間違いなく知っていると見て良いな。絶対親父の事だから、「そんな無茶苦茶な策を与力の軍勢にさせるでない!」と言うだろうな
もう、これは仕方ない。親父から色々と小言を言われるのは諦めよう。で、俺がそんな考え事をやめて現実に戻ったら
「十日で百里を走るとは常人とは思えぬ!」
「公方に阿呆と言い切る凄まじい胆力!」
「やはり、原様の主君であらせられる柴田様も凄まじいお方ですな!」
ほら!皆さんドン引きしてる!いやいや、皆さん?皆さんの主君である家康も最上殿も、
同じ状況になったら、俺と同じ事をやる可能性はありますから!俺だけがそんなトチ狂った人間だと思わないで欲しいのです!
俺のそんな胸の内が読めたのか、昌幸さんから小声で
「殿。皆様に何か言い訳をしても、無駄であり逆効果ですから、何も言わずに呑んでくだされ」
「諦めて、そのままにしておけ」と言われました。名将の昌幸さんですら匙を投げる状況なら、俺には無理だな
チクショー!急性アルコール中毒にならない程度にやけ酒してやる!でも、この後の過密スケジュールを考えると酔えない!!
で、そんなこんなで酒樽が全部空になったので、宴会が終わりになる直前に、於義伊くんが
「六三郎様!明日の元服の儀の際、お願いしたき事があるのですが」
何か俺にリクエストがあるらしい。何だろうか?
「どの様な事ですかな?」
「はい。六三郎様の諱の「勝」の字を使わせていただきたく!よろしいでしょうか?」
「構いませぬ!使ってくだされ!」
勝四郎くんと同じリクエストでした。まあ、別にダメではないし、この時代は「勝」の字を使っている武将は沢山居るからねえ
「ありがとうございます!」
於義伊くんがお礼を言った事で、宴会はお開きになりました。さて、明日は於義伊くんの元服、明後日は於義伊くんと竹姫の祝言の予定だけど、お願いだから何事も無く終わってくれよー!
※六三郎のお願いはフラグです。




