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転生武将は戦国の社畜  作者: 赤井嶺


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進軍の武田と試される徳川

元亀三年(1572年)十二月二十二日

遠江国 浜松城内


「急ぎ守りを固めよ!!武田は水の手も切ると聞く。飲み水になる川の守りも固めるのじゃ!」


「「ははっ!!」」


朝の早い時間から浜松城内は皆が忙しなく動いていた。その理由は徳川方の物見より武田が浜松城へ進軍を開始したとの報告を受けたからだ。武田の強さは徳川家中の誰もが知っているからこそ、緊張感が溢れていた


そして、出来る限りの準備をして、城と周辺の守りを固め、いつでも迎え撃てる状態の徳川方に対して武田方はというと


「お館様。物見より徳川達は城だけでなく水の手まで守りを固めているとの報告です」


「うむ。予想通り我々に怯えておるな。これで奴らは攻撃して来ないと確信した。変わらず城を素通りする。先手の小山田達は、城を素通りした後、進軍速度を上げて三方ヶ原に布陣しておく様に」


「ははっ!」


「さあ、徳川の若造の胆力はどれ程かのう」


徳川方と反対に余裕綽々だった


武田が浜松城から見える距離まで来ると、徳川方は誰も喋る事が出来ない重い空気に包まれた。


しかし、信玄率いる武田方は進軍速度を変える事なく浜松城に近づきながら素通りしていった


その様子に徳川方の一部は安堵していたが、家康達首脳陣は怒りと焦りが入り混じっていた


「殿!武田は我々の城を素通りして行きましたぞ。これは我々なぞ戦うに値しないと言っているも同然」


「それだけではありませぬ。このまま何もせずに武田の素通りを許しては、周辺の武士達までもが武田に付いて我々は孤立無援になってしまいまする」


「殿!」


「殿!」


「最初は戦を仕掛け、次は不躾な降伏勧告をし、しまいには戦わずに素通りとは。武田よ!我々徳川家を舐めるのも大概にせんか!」


「殿!」


「殿!」


「殿!」


「出陣する」


「出陣じゃあ」


「殿がご決断なされたぞ」


「戦じゃあ」


家康の出陣宣言に家臣達は一斉に立ち上がった。そんな中、家康は冷静だった


「待て!今すぐではない」


「では、いつ御出陣なさるのですか?」


「万千代、地図を」


「ははっ」


呼ばれた井伊直政は地図を持って来てすぐに広げた。そして家康は地図を指差しながら


「良いか!武田から一定の距離を取りながら、この大軍が自由に動けぬ三方ヶ原に行かせ、布陣する前に後ろから攻撃する!我々は数で劣っているが、地の利で勝っている!ならばそれを生かすのみ!急ぎ甲冑を用意せよ!武田の殿軍が見えなくなったら出陣じゃ!」


「「「「「ははっ!!!!!」」」」」


こうして、家康は見事なまでに信玄に動かされたまま出陣を決めた。

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