道乃が例の件を六三郎に伝えたら
六三郎が長女の六花の嫁入り話にイラついていると、それを察した道乃は
「甲六郎、六花と六江を連れて遊んで来てくれますか?母達は大事なお話をこれからしますので」
子供達に席を外す様に伝えると甲六郎は
「はい!それでは、六花と六江。少しばかり、外に行こう」
そう言いながら2人の手を取って、外に出て行った。甲六郎の姿を見て六三郎は
「道乃、しっかりと子育てをしてくれておると分かる程、甲六郎は頼りになるな」
思わず、しんみりしていた。しかし、道乃は
「六三郎様、甲六郎は典厩様が六三郎様の昔のお話をしてくださった事で、幼いながらに責任感が出たのだと思います
それこそ、典厩様も甲六郎の嫁に沙奈姫はどうか?とか、六花か六江を次郎右衛門殿の嫁に迎えたい!ともお話しておりましたので、その時に聞いたのかと」
甲六郎がしっかりした子になったであろう理由を話す。道乃の話を聞いた六三郎は
「その様な事があったとは。甲六郎にとって、良き影響になった事は感謝しかないが、それとこれとは話が別じゃ。道乃、他に子供達への婚姻の申し出は無かったか?」
典厩に感謝を示しつつ、他に婚姻話が無かったかと道乃へ質問すると、道乃から例の件が伝えられる
「子供達には無いのですが、私の与太話で最上様が」
「最上殿という事は、駒姫の事か。どの様な与太話をしたのしゃ?」
「はい。駒殿に、「嫁ぎ先が決まらないのであれば、私の弟の新三郎に嫁いではどうか?」と話した事が、最上様へ伝わりまして
最上様と何度かお話させていただきましたが、初陣も経験して、柴田家に身をよせている状況ならば、織田家か柴田家のいずれかから
領地をもらうだろうから、その件で六三郎様と右府様を交えて話したいと、仰っております」
(おう、新三郎が独身である事を忘れていた。これは大殿や殿のせいだ!そう言う事にしよう!でも、駒姫が新三郎に嫁いだのであれば、
史実の秀次事件の様な事は起きないはず。水野様と利兵衛と親父に鍛えられた新三郎が、大殿や殿から切腹を命じられる事は無いだろう!
そもそも秀次事件は秀頼が産まれて狂った秀吉が暴走したから起きた!なんて説もある。でも、この世界線の秀吉は天下人じゃない、俺と同じ織田家の家臣だから、秀吉と最上殿が関わる可能性は低い
でも、はっきり言って、最上殿の溺愛っぷりは史実と変わらないと見て良い!万が一の事が起きたら、織田家は勿論、俺にも憎しみをぶつけてくるだろう!
そうならない為に、新三郎には事細かく、駒姫を大事にする様に教えよう!)
道乃の話を聞いた六三郎は、史実の様な事が起きない為、動く決断をした。そんな六三郎の考えている事が伝わったのか、道乃は
「六三郎様、新三郎が駒殿を嫁に迎える事を拒否したり、嫁に迎えてから酷い扱いをしようものなら、右府様は勿論、帰蝶様からも叱責してもらいます!
なので、最上様と先ずはお話し合いしてみて、右府様がご到着なされたら、その旨をお伝えしましょう。ね?」
新三郎が駒姫に酷い事をしたら、信長や帰蝶を使って叱責してもらうと言った。それを聞いた六三郎は
「道乃、本当に強くなったな」
道乃を褒めた。褒められた道乃は
「ええ、我が子を産んで母になった以上、強くならないといけませんから」
微笑みながら、答える。すると道乃が答えた頃合で、
「柴田殿!此方に居ると聞いたぞ!済まぬが、駒の嫁ぎ先について話し合いたい!」
最上義光が部屋の前に来た。そこで六三郎は襖を開けて
「最上殿、話は道乃から聞いております。拙者の部屋で道乃と駒姫殿も交えて、話し合いましょう」
そう伝えると、道乃を連れて自室に義光と駒姫を連れて行った。この時、六三郎は穴山姉弟の事を忘れていた
そんな六三郎の動きを、信長は六三郎の軍勢に潜ませていた者から伝えられる
天正二十一年(1593年)十月一日
甲斐国 某所
「大殿。柴田様の軍勢に潜ませていた者より、何やら少しばかり良くない事が起きたとの事を書いた文が届きました」
「ほう。どの様な事じゃ?見せてみよ」
信長は文を受け取り、目を通すと
「確かに、少しばかり良くない事じゃな。武田家を崩壊寸前まで追い詰めた謀叛を起こした、穴山家の遺児達が六三郎に保護されるとはのう
しかも、六三郎は武田家の面々にその事を隠しておるとは。まあ万が一の事を考えての事じゃろうが
それは武田家を、ひいては虎次郎を信頼してない事になるのう。六三郎の事じゃ、恐らく隠し通せないじゃろう。あ奴は、戦と内政以外では何処か抜けておる
六三郎は隠していても、他の所、それこそ、武田家の家臣の誰かしらが気づいたり、六三郎の家臣の誰かしらから露見するかもしれぬしな」
まるで、これから何かしらが起きるかの様なフラグ発言をしていた。そんな信長の側に居た丹羽長重は
「大殿、もしや六三郎殿か保護している穴山家の遺児達の事で対立する事は無いとのお考えなのですか?」
六三郎が武田家と対立しないと見ているのかと、信長に質問する。その質問に信長は
「まあ、幾許かの言い争いはあるじゃろう。それでもどうにか丸く収まると、儂は思う」
「多分、大丈夫だろう」と答える。その答えを聞いた長重も
「確かに、六三郎殿ならば丸く収めてくれそうですな」
信長の意見に賛同する。長重の言葉を聞いた信長は
「まあ、それは楽しみに取っておこう。ほれ、左京大夫殿が出立の旨を伝えておる!準備せい!」
「「「ははっ!」」」
こうして、六三郎が隠していた穴山姉弟の事は、既に信長にバレていて、更にフラグも建てられてしまった状態で、虎次郎の元服の儀が近づく。




