高代と甲斐姫が君花と話し合った結果
「さあ、君花殿。先ずは私と甲斐殿と六三郎様だけになりたいので、家に案内してくれますか?」
「え、あ、あの、私達の住む家は、皆様が入っても大丈夫な家ではないのですが」
高代が「家に案内してくれ」と頼むが、君花は「家が汚い」と言う理由で断る。それでも高代は
「そんな事、私達は気にしません!さあ、行きますよ!案内してください!」
君花の腕を引っ張って、家までの案内を強引に頼む。高代の勢いに負けて案内を開始する。一緒に移動して間もなく
「此処が、私達の家です」
君花達の家に到着した。その家はイメージ通りの一般的な百姓の家だった。その家を見た高代は
「私が六三郎様と出会った時に住んでいた、信濃国の家と殆ど同じですね、六三郎様!」
思わず、懐かしい気分になって六三郎に話しかける。その言葉に君花は
「高代様、この様な家に住んでいたのですか?」
思わず高代に質問した。君花の質問に高代は
「それは、家の中で話します。さあ、それでは入りましょう」
家の中で答えると話して、強引に入って行った。君花の妹の君江と弟の勝五郎の世話を赤備え達に任せた六三郎は
「それでは高代と甲斐。儂は話し合いが終わるまでは黙っておくから、儂の事は置物とでも思って、自由に話してくれ」
と、カッコつけてみたが、内心は
(高代さん、俺と初対面の時みたいに秘密を話さないでくれよ?君花さんと甲斐姫は、どう見ても俺達と違って普通の人なんだから!お願いしますよ!?)
高代に余計な事をしないでくれと願っていた。
そんな六三郎の思いが届いているのか、いないのか、高代は君花と会話を始める
「さて、君花殿。あなたの本音を聞かせてください」
「私の本音、ですか。先程もそちらの六三郎様と呼ばれております方にお伝えした様に、私達の事を武田家に伝えないでいただきたく。それが私の本音です」
君花の言葉に高代は、
「君花殿。私は「本音を聞かせてください」と、お話しましたよ。あなた達が野盗に襲われている時に、「お助けを」と言った言葉が、あなたの本音、
つまり、妹の君江殿と弟の勝五郎殿は助かって欲しいと願ったから、出た言葉なのではないのですか?」
「本音は、妹と弟は生きて欲しい。だから助けを求めたんでしょ?」と、指摘する。指摘された君花は
「その、通り、です。私は死んでも、せめて二人にら生きてもらいたいのです」
涙を流しながら、本音を語る。
君花の本音を聞いた甲斐姫が
「君花殿!妹の君江殿と弟の勝五郎殿は、あなたにも生きていて欲しいと、間違いなく思っております!だからこそ、あなたは、いえ、あなた達姉弟は、
六三郎様を当主とする柴田家に保護されるべきです!こちらの高代様は、六三郎様の側室の身ですが、出会った時は、あなた達と同じ様な立場でした
だからこそ、何も気にせずにあなた達姉弟は保護を申し出てください!ですよね、高代様!」
更に君花の本音を引き出そうと、押しを強くして、高代に話を戻すと高代は
「そうですよ君花殿。あなた達姉弟が全員、幸せに生きている事を望んでいるはずです!だから君花殿!
六三郎様に保護を申し出てください!六三郎様は、弱きを助けてくださいます!ですね、六三郎様!」
最期の一押しをした後、六三郎に話を振る。そこで六三郎は
(ちょっと!!俺に話を振るのはやめて欲しいのですが!?俺が自発的に保護するのと、お願いされてから保護するのでは、意味合いがかなり違いますからね!そこら辺を分かってください!)
内心、自発的に保護したくない気持ちが溢れていた。そう思っていた時、君花が
「柴田様!本音を申し上げます!私達姉弟を保護してくださいます様、お願いします!」
保護してくれと申し出た。君花の本音を聞いた六三郎は
「君花殿。その言葉に嘘偽りは無いな?」
「はい」
念の為の確認を行ない、君花も正直に答える。君花の言葉に六三郎は
(よし!これで、大殿や武田家の面々にバレない様に過ごせば、どうにかなるだろう!お願いされて保護したら、俺の領内で働いてもらって、よし!この計画だな!)
これからの計画を考えていた。そして、
「よろしい。君花殿、あなた達穴山家の姉弟達を保護しよう!」
穴山姉弟の保護を決断し、その旨を宣言する。六三郎の宣言に君花は
「ありがとうございます!ありがとうございます!」
平伏して、感謝を述べた。その後、六三郎は
「さて、君花殿。保護する以上、形式的にお主達姉弟を我々の従者として扱う。そうじゃな、君花殿と君江殿は、高代の侍女とでもしておこう
それと、勝五郎殿は小姓見習いとでもしておくか。だからと言ってはなんじゃが、これからは呼び捨てにしますぞ?良いですな?」
「はい!ありがとうございます!」
これからの予定を含めた隠蔽工作としての、身分偽装を説明し、君花も了承する。全ての話を終えたので六三郎は
「それでは君花よ、君江と勝五郎を呼んでまいれ。2人には、細かい部分を説明しても分からないじゃろう!だから、簡潔に説明するに留めておく。なので、呼んでくれ」
「は、はい!君江!勝五郎!来なさい!」
細かい部分を隠して、妹と弟に保護する形を取ると伝え、君花は2人を中に呼ぶ。そして2人に六三郎は
「さて、君江と勝五郎。簡潔に説明するが、お主達の姉の君花が、儂の元で働きたいと申し出たのじゃが、まだ幼いお主達を置いていくのは、忍びない
なので、お主達2人も儂の元で少しずつ働くのじゃ!良いな?」
本題部分を隠して、説明する。六三郎の説明に2人は
「はい!姉様が幸せに暮らせるのであれば、何処でも行って働きます!」
「拙者も、姉様達の為に働きます!」
君花の為に働く事を決意する。2人の決意に君花は、
「二人共、私の為に」
泣き出す。君花に釣られて高代も
「やっぱり、姉弟は近い場所に居ないと駄目ですね」
と言って、泣き出す。君花と高代を見て甲斐姫も
「姉弟って良いですねえ」
と、大泣きしていた。そんな状況で六三郎は
「場の空気を壊して済まぬが、そろそろ目的地である躑躅ヶ崎館へ出立しよう!」
全員に出立する旨を宣言し、躑躅ヶ崎館への移動を再開した、




