助けた者達の正体は
「そうりゃああ!」
「ぎゃああ!」
「くたばれええ!」
「ぐはっ!」
赤備え達が野盗を相手に大立ち回りをしていたが、実際の展開は野盗が赤備え達の相手にならずに、一方的に殺されているだけだった
野盗の人数も100人は居たのだが、赤備え達にとっては大した事のなかった相手だった様で
「殿!驚く程、骨の無い野盗でしたぞ!」
「まったく、銀次郎の言うとおりじゃな!槍を横薙ぎしただけで二人も吹き飛んで、そのまま死んでしまったぞ!」
「それに、刀と槍しか無かったから、我々が全力の半分以下で殺せてしまったからのう」
「銀次郎と新左衛門と源次郎!お主達三人だけで半分以上も殺してしまっては、他の者達が何も出来ないではないか」
武闘派の3人が暴れて尚、物足りないと言っている所を、赤備えの頭領である源太郎がツッコミを入れる
そんな中で、六三郎から
「源太郎。気持ちは分からんでもないが、とりあえず助けを求めて来た者達を保護しよう」
「怒るのは後にしろ」と言われると
「は、ははっ!皆、あの三人を保護するぞ!」
「「はっ!」」
即座に赤備えの皆へ、助けを求めて来た3人の保護を命令する。そして3人を保護して、六三郎の前に連れて行くと
「「「ありがとうございます!ありがとうございます!」」」
3人共、頭を下げていた。その3人に六三郎は
「とりあえず、命が無事で何よりであった。それで、色々聞きたい。先ず、お主達3人はどの様な間柄じゃ?そして、あの野盗の者達がお主達の村を襲撃したのが、この状況なのか?」
3人に質問する。3人のうち最年長らしき女性が
「質問に答えさせていただきますが、先ず、私の名は、君花、妹は君江、弟は勝五郎と申します
私達三人は母親違いの姉と妹と弟です。元は父と兄が武田家にそれなりの地位で仕えていたのですが、
愚かにも謀反を実行しようとして、武田家は勿論、武田家を臣従させた織田家、そして織田家の同盟相手の徳川家に返り討ちに遭いました
父と兄の討死を聞いた私は、私の母と二人を、そして二人の母を連れて、この甲斐国と武蔵国の境まで逃げたのです。次の質問ですが」
君花の答えを聞いた六三郎は
(待て待て待て待て!今、父と兄が武田家にそれなりの地位で仕えていたのに謀反を実行しようとして討死したとか、絶対に穴山の子供じゃねーか!
これ、名字聞かないでそのままスルーした方が良い案件だろ!そうだ!何も言わない、何も聞かないで進むぞ!そうと決めたら!)
件の姉弟が穴山の遺児達だと確信した。なので、3人の事をスルーして進もうと決めた。しかし、そんな六三郎の考えが伝わらなかった赤備え達は
「「「「「もしや、お主達は穴山の子供か?」」」」」
六三郎があえてスルーしていた事を平気で聞く。その様子に六三郎は
(聞くなよー!聞いた以上、スルー出来なくなったじゃないか!!)
頭を抱えながら、そんな事を考えていた。そんな六三郎に昌幸が
「殿、如何なさいますか?皆が聞いた以上、殿が放ったらかしにする事は良くないと思いますぞ?」
「そのままスルーしたら良くないよね?」と、悪魔の囁きをする。その時の昌幸の顔を見て六三郎は
「喜兵衛。何やら、顔が楽しそうなのは、儂の気のせいか?」
昌幸の顔が笑顔になっている事を指摘する。指摘された昌幸は
「いえいえ、殿の気のせいです!」
当然の様に否定する。昌幸の言葉を聞いた六三郎は
「まあ良い。それで、君花と君江と勝五郎!お主達3人、穴山家の生き残りで間違いないか?」
仕方ないと諦めて、3人に質問する
代表で君花が
「はい。私達は、穴山家の生き残りに相違ありません!ですが、私達は最早、只の百姓として生きております!なので、どうか!お見逃しください!お願いします!」
見逃してくれと平伏して、六三郎に頼む。そんな君花の言葉に六三郎は
(おいおい。これ、どうすんだ?こんなん、俺がどうこう出来る問題じゃない気がするんだが?はっきり言って、虎次郎くんにとっては親の仇の子供だぞ!
虎次郎くんが、己のワガママを貫く可能性は低いけどゼロではない!いや、虎次郎くんよりも五郎さんの方がブチギレて殺す可能性の方が高い!
やべえよ!これ、どうしたら良いんだよ!?柴田家の家督を継ぐ前なら俺の責任は少なかったけど、今は俺の行次第で皆が路頭に迷う可能性があるんだから、
即決出来ねえ!どうする!どうする!俺!?)
返事を返せない程、頭の中が混乱していた。そんな六三郎に声をかけた人物が居た。それは
「六三郎様。よろしいでしょうか?」
「高代。何かあるのか?」
高代だった。その高代が六三郎に対して
「六三郎様。穴山家の方々の事で、悩んでおられる様ですから、私と甲斐殿が君花殿と少しばかり、話してみますので、その話し合いの場に何も言わずに
話を聞くだけの状態で居てくださいませ。よろしいですね?」
「自分と甲斐姫か君花と話し合うから、その場に居とけ!」
と、伝える。いきなり話を振られた甲斐姫は
「高代様、私も参加してよろしいのですか?」
と、驚く。しかし高代は
「甲斐殿。この様な時は、女子同士の話し合いをしながら、その内容を六三郎様に聞かせた方が、六三郎様の御決断に繋がるはずです。なので、協力をお願いします」
甲斐姫に、そう頼む。頼まれた甲斐姫は
「分かりました」
不思議に思いながらも、了承する。こうして、六三郎の悩みを解決する為に高代と甲斐姫が、君花と話し合う事になった。




