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転生武将は戦国の社畜  作者: 赤井嶺


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激しい訓練と返答

更新が遅くなりまして申し訳ありません。

元亀三年(1572年)十二月十七日

遠江国 某所


「騎馬隊は動きながら投げ入れよ!足軽達は隠れながれ投げ、煙が消えたら一斉に突撃じゃ」


「「ははっ!!」」


「我々を舐めた武田を叩きのめす為に、そして、大切な者達を守る為に己を鍛え上げよ!」


「「「おおお!!!」」」


家康も参加した訓練は家臣達の士気を大いに高めた。しかし、これ程の訓練をやっても尚、家康は不安と恐怖が消える事は無かった。


その理由はこの日の朝、家康の考えた対武田の策の「織田家から貰った吉六郎考案の武器を武田との野戦で使う」と発言した後、一部の家臣から「いざとなったら自分の体に巻きつけて火をつけた状態で武田に単騎で突撃する」との言葉を受けて、そんな事はさせたくないが、そうせざるを得ない戦況になった場合の事を考えると、家臣に簡単に死んで欲しくないからこその葛藤が家康の胸中にあった


史実において会津征伐に向かう前日、伏見城内で今川家の人質時代から共に過ごして来た鳥居元忠と酒を飲み交わしていた時に


「殿、殿が会津に向けて出陣したならば石田治部を始めとした面々が間違いなく挙兵し、上方で唯一の徳川家の拠点であるこの城を攻めるでしょう」


「儂もそれは間違いないと思う。だからこそ鳥居よ」


「殿。そこから先は言わずとも分かっております。この城を某の家臣と与力を含めた二千程の兵で守る事は「死んでこい」と言う事と同義。それでも我々は全員、その事を理解しておるからこそ、城を枕に討死する覚悟を持っております」


「幼き頃より苦楽を共にしたお主を捨て駒の様に扱いたくはない!だが、この役目を任せられる者がお主しか居らぬのじゃ。済まぬ」


「殿。そのお言葉だけで嬉しゅうございます。我々は徳川家による天下取りは勿論、そこから先の戦無き平和な世の礎となれるのですから。だからこそ、殿の天下取りの為の大戦に兵は一人でも多く連れて行ってくだされ。我々の為に後ろを振り向かず、天下取りの為に前だけ見据えてくだされ。少々差し出がましい言い方になりましたが、今生の別れにございます。何卒、徳川家による天下を。戦無き世をお作りくださいませ」


鳥居からこう言われた家康はそれ以降、その場では弱音を言わず酒を飲み交わした。しかし、鳥居が場を去ると1人静かに涙を流していた


と言う多少盛っていないですか?みたいな部分はあれども、腹黒狸と言われる程冷酷なイメージの有る家康と言えど、家臣を大事にしており簡単に死んでほしくない。というところは若い頃も高齢になっても変わらない様だ


家康が葛藤を抱えながらも時は止まらず、家臣達は武田を倒す為に訓練に励んだ。そして期日の四日が過ぎた


元亀三年(1572年)十二月二十日

遠江国 浜松城前にて


「徳川三河守殿!武田家家臣、山県にござる!書状の返答を伺いに参った!返答は如何に?」


山県が一部の家臣を連れて浜松城前で家康を呼び出した。それから間もなく、門が開き家康と重臣達が数名出て来た。それを見た山県は


「出てこられましたか。てっきり織田の領地に逃げこんだと思いましたぞ?して、返答は如何に?」


と、挑発を仕掛けた。しかし覚悟を決めた家康は挑発を受け流し


「何をそれ程返答を急がせる?まるで武田家中に急がねばならぬ事情がある様に見えるのう」


逆に武田家中が焦っている事を知っているかの様に挑発し返した


「ふっ。その様な指摘は不要にござる。して、武田に降るのか否か?返答を」


「返答なら最初から決まっておった」


「ならば早」


「我々徳川家は最期の一人になろうとも、武田に膝は折らぬ!これより先は話し合いは不要!さっさと本陣に戻って軍勢を差し向けられよ!」


「そうじゃあ!徳川を舐めるな!」


「武田には屈さぬ!」


「さっさと帰れ!」


家康の返答を聞いた重臣達は、家康に続いて山県に言葉を浴びせた


徳川家からの言葉を聞いた山県はしばらくすると


「くっくっくっ。それが徳川からの返答じゃな。良かろう。ならばこれより先は話し合いなぞせずに戦で全てを決めようではないか」


山県はそう言いながら馬に乗り、帰り際


「今、口にした言葉。後悔する事になるぞ」


と言い残して武田の本陣に戻っていった


山県達が去った後、徳川家の面々は


「戦の準備をせよ!いつでも出陣出来る様にしておけ!」


「「「おおお!!!」」」


士気が高く直ぐにでも出陣出来る状態だった

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― 新着の感想 ―
[一言] 更新ありがとうございます。 ゆっくりで大丈夫ですよ。
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