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転生武将は戦国の社畜  作者: 赤井嶺


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死なずに済んだ

元亀三年(1572年)十一月二十五日

遠江国 浜松城内


「むん!」


「うお」


「若様。次は拙者が参りますぞ大殿」


「よし。源太郎よ、来い」


「そうりゃあー」


「甘い!」


「うわああ!!」


「兄上。大殿!次は拙者が参ります」


「源次郎よ、遠慮は要らぬぞ?」


「では!それええ!」


「攻撃が単調じゃ!」


「あっ!!」


「どうした三人共?まだ鍛錬は終わっておらぬぞ!早く立たんか!」


おはようございます。朝から家臣の飯富兄弟と共に親父に鍛えられている柴田吉六郎です。今日も夜の明けないうちから親父の鍛錬が始まったわけなのですが、今日は家康が親父に「いつもやっている鍛錬を見せてくれ」なんてお願いをしたもんだから、親父は徳川家家臣の子供達用ではない、俺達を徹底的に鍛える内容のメニューを実施中なわけですが


これが超キツイ!何故なら俺も飯富兄弟も通常の模擬槍よりも長くて太いパッと見は丸太と言っても過言ではない物で向かっているんだけど、そんな俺達よりも更に長くて太い模擬槍を親父は振り回しているのに俺達の動きを先読みしているのか、サラッと俺達の攻撃を避けてから一撃入れてくる。


その一撃が重いのなんの。模擬槍を間に挟んでも俺は仕方ないとして飯富兄弟も弾き飛ばすんだから、五十歳を超えて更に強くなったのか?それとも、徳川家の皆さんとの政治的な話し合いでストレス溜まってるから発散してるのかな?


そんな事が頭の片隅によぎったけど


「早くせんか!!」


親父の激に体を起こして、鍛錬再開です。


「行きますぞ父上!!」


「来い!!」


「とりゃああ!!」


で、俺の意識はここで途切れました。



「「若様」」


飯富兄弟の声が聞こえてきました。どうやら生きている様です。俺がそんな事を実感していると


バシャン!


頭から水をぶっかけられました。やった人間は親父だろうと思って振り向いたら、やっぱり親父でした


「いつまで寝ておる!!もう昼も過ぎておるというのに」


寝起きに親父の大声は辛いです。


「徳川様がお主達三人の為に風呂を御準備して下さった。入って来い。儂は徳川様のところへ行ってくる」


「分かりました」


そこで親父とは別れた


同日 浜松城内大広間にて


「皆様、お待たせ致しました」


「柴田殿。入ってくだされ」


「では、お言葉に甘えて」


大広間の入口の襖から勝家が挨拶すると、家康は入る様に促した。そして大広間内に入ると、家康は頭を下げた


「柴田殿。朝の鍛錬、誠に感謝しかない!」


「と、徳川様?頭をお上げくだされ。朝の鍛錬と申しますと?」


「うむ。此処に居る家臣の皆も同じ事を思っているであろうが、朝の鍛錬において柴田殿が一切の容赦なく嫡男の吉六郎や、その家臣を叩きのめした事を見て気を引き締めたのじゃ」


「徳川様、拙者はこれと言って特別な事はしておりませぬが」


「そこよ柴田殿。「普段の鍛錬」があそこまで過酷なのじゃ。しかも幼子相手に。家臣の子達にはあそこまでの鍛錬はやってなかった。と言うよりも出来なかった。と言った方が正しいかな?」


「その通りでございます。徳川様から直々の頼みで家臣の皆様の子に鍛錬を行ったとはいえ、倅達と同じ鍛錬を行ってしまって怪我をさせてしまっては拙者の腹を切っても足りないと思いまして」


「そうか。まあ、そういう考えが出ても仕方ないとしか言えぬか。話は変わるが柴田殿、三郎殿から今月末で織田家に戻る様に言われていたであろう。そこで改めてじゃ」


家康がそう言いながら、姿勢を正すと家臣達も同じく正した。そして


「徳川家一同より家中の空気を変えた事、若者を鍛えた事、感謝いたす」


家康が頭を下げると家臣達も一斉に頭を下げた


「と、徳川様。家臣の皆様もお止めくだされ。拙者は織田家の一家臣でしかないのですから、その様な」


「柴田殿がそう言ってくれるなら、元に戻そう。ところでじゃ柴田殿」


「な、何でございますか?」


「吉六郎は誠に元服後が楽しみじゃ!もし、儂の家臣であったなら嫁を当てがいたい程にな。朝の鍛錬で知恵働きだけでなく、武勇も幼いながらに見事であると確信した。柴田殿、吉六郎をしっかりと育ててくだされ」


「は、はは。有り難きお言葉にございます」


「うむ。残り数日になるが、宜しくお頼み申す。下がって休んでくれ」


「はは。では、お言葉に甘えて」


そう言って勝家は大広間を後にした

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