出来る弟は仕事が早いし、兄も結果が出だすと自信がつく
天正十九年(1591年)十一月二十八日
武蔵国 鉢形城
「柴田殿!福に言っておった長刀を振る事の出来る場所を作ったが、この様な感じで良かったかのう?」
「新太郎殿、素晴らしい建物です。拙者の実家の建物よりも立派ですぞ。側室の皆様も長刀を振る事が出来るでしょう」
皆さんこんにちは。北条一門の妊活の手伝いで、武蔵国の鉢形城に来ている柴田六三郎です。いやあ、北条家の凄まじさを感じる、
鍛錬場が二十日とかからずに完成した事に驚いております。城主の新太郎殿の正室である福さんが、「鉢形城には土地が余っている」と言っていましたが
まさか、こんなデカデカとした建物が、それこそ推定ですが標準サイズの女性が20人くらいは収まりそうな広さです
そして、そんな新太郎殿の兄貴で妊活の主役である源三殿はと言うと、元の身体が秀吉より逞しかったのもあり、早い段階で地獄の筋肉痛から抜け出た様です
そんな源三殿が新太郎殿の居る大広間に俺を呼び出しました。何か気になる事でも起きたのでしょうか?
六三郎が疑問に思いながら、大広間に到着すると、そこには、新太郎の家臣、源三の家臣、それぞれ10人ずつくらいで六三郎を出迎えた
その中で最初に六三郎に声をかけたのは源三だった
「柴田殿。身体を鍛えて、獣肉を食べる事を指導してくださった事、誠に感謝致します」
源三からいきなり、感謝の言葉をもらった六三郎は、訳が分からなかったので
「あの、源三殿?まだ、身体を鍛え始めたばかりですので、結果も出てないので、感謝の言葉は早いと思いますがか、何かありましたでしょうか?」
何かあったのかを聞くと、源三は
「それがですな、四十歳を超えて、最早子作りは十日に一度でも出来たら良いと思っていたのですが、三日前に側室の一人である、かな子と五回も致してしまいましたぞ。まるで二十代の頃の様でしたぞ」
と、筋トレと食事改善のおかげで、1日に五回も頑張ったとの話を六三郎にした。その話を聞いて六三郎は
(まだ筋トレと肉食をスタートして、1ヶ月も経ってないのに、もう回数をこなせるのかよ!スゲエな!
でも、体力に自信がついたからと言って、毎日子作りを頑張るのは悪手なんだよなあ。毎日子作りしない為にも、秀吉の時にも使った説明で行こう)
効果が薄くなる事を危惧した結果、源三に対して、秀吉にやった、「毎日の子作りが何故ダメなのか?」を説明する事にした
「源三殿。それは良き事にございます。そこで1つ、お聞きしたいのですが、毎日五回も子作りを頑張るおつもりでしょうか?」
「その予定じゃが」
「だとしたら、それはお止めください」
「な、何故じゃ?子作りは毎日数多く頑張った方が、子を授かる可能性は高まるのではないのか?」
「源三殿。数多く頑張る事は間違いありませぬ。ですが、毎日行なう事が間違いなのです。その理由を戦に例えますと、男の子種は足軽や兵達になりますし、
子種が行き着く女子の体内は、城の本丸であり、敵の本陣です。そこを毎日攻めては、足軽や兵達も疲れ果てて、満足な働きが出来ませぬぞ?
そこで、何が必要かと言いますと、ここ1番の攻めです。それが城攻めならば、城壁が壊れた時ですし、
野戦であれば、敵の数を減らしたり、敵の裏を取った時である事は戦経験豊富な源三殿、新太郎殿、そして家臣の皆様なら分かると思いますが、
ここ1番の攻めの前にすべき事、それは休息です。子種にも休息が必要なのですから、毎日頑張ってはいけませぬ」
六三郎の説明に、源三は
「そ、それでは、攻め時、ではなく子作りの好機を逃してしまうのではないのか?それだと、子が産まれる機会が、いつになるか」
「子作りの好機を逃すのではないのか?」と主張する。
源三が主張していると、
「失礼します」
そう言って、新太郎の正室の福が大広間に入って来た。福を見るなり新太郎は
「福!今は、男同士の話し合いを」
と言って、福を帰そうとするが、福は
「新太郎様!源三義兄上の子作りの話でしょう!私は比左殿から、側室の三人の事を助けてやってくれと頼まれたのです!
自分は子を産めなかったから、助けてやりたくとも助けられない。だから、福殿に頼むしかないと!しかも、涙ながらに頼んで来たのですよ!
それならば、口うるさいと言われようとも源三義兄上の子作りを何としても成功させなければなりません!なので、新太郎様、源三義兄上。私がこの場に居てもよろしいですよね?」
新太郎と源三の中間に陣取り、2人を見つめる。福の圧に負けたのか2人は
「分かった。源三義兄上の機嫌を損ねるでないぞ」
「いや、新太郎よ。女子の身体の事は、女子にしか分からぬし、何より、比左が福殿に頼んだのであれば、比左の夫の儂も、福殿を頼るとしよう。福殿、よろしく頼む」
福の参加を許可した。許可をもらった福は、改めて
「新太郎様、源三義兄上。ありがとうございます」
と、お礼を言った後
「それでは、源三義兄上が仰っていた、子作りの好機ですが、それは女子の体調が普段と違う時です!
ですが、殿方は毎日顔を合わせていても、分かる人と分からない人の差は激しいのですから、せめて五日に一度、一日だけ子作りを頑張ってください!
勿論、私も側室達の体調の変化は逐一、報告します。これも柴田様が仰っていた、やや子を授かるという武功の為です。その日が来るまで、耐えてくださいませ」
福は具体的に説明する。福の説明に、新太郎も源三も、そして家臣達も、出産経験者の意見として重く受け止めていた
そんな中で六三郎は
「拙者が言いたかった事の殆どは、福殿が言ってくれましたが、源三殿。拙者が以前話していた、羽柴様は、子作りは7日に1度、その日に7回頑張る為に身体を鍛えに鍛えたのです
なので、源三殿もその様に、子作りをしない日は、身体を鍛える日と決めてくだされ」
源三に「一日の回数を増やす為に、身体を鍛えておけ」と伝える。伝えられた源三は
「分かった。柴田殿の言うとおり、子作りをしない日は、身体を鍛えよう」
六三郎の言葉に納得した。こうして、自信がついた源三だったが、側室達が妊娠しやすい日以外に子作りをしない様に、抑える事になった。




