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転生武将は戦国の社畜  作者: 赤井嶺


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参加を後悔した話し合い

「六三郎殿、五郎叔父上の無理を聞いていただき、忝い」


「いえ。ただ、虎次郎様。典厩様は」


「呼んでおるので、そろそろ来るはずなのじゃが」


皆さんこんばんは。五郎さんに言われて、とある話し合いに参加しましたが、既に参加した事を、後悔しております柴田六三郎です。 


今回の話し合いの主役である典厩様の到着を待っている間に、大広間の中央に居る沙穂さんという女性が、典厩様の嫡男の次郎殿の嫁で、


側に居る3人の子供達は次郎殿と沙穂さんとの間に産まれた子供だと、沙穂さん自身が言っているのですが、沙穂さんの話が本当だとすると、


3人の子供達は典厩様の孫にあたります。事の真偽を確認する為には典厩様が来ないと始まらないので、到着を待っているところです


そんな感じで待っていると、


「待たせてしまい、申し訳ない!」


典厩様が到着しました。やっと話し合いがスタートしたかと思ったら、虎次郎くんが


「典厩叔父上!いきなりで済まぬが、そこの母親と三人の子供が、典厩叔父上に深い関わりがあるそうじゃ!先ずは自己紹介を聞いてくだされ」


「は、はあ。では、そちらの女子よ、自己紹介をしてもらおうか」


典厩様に促されて、沙穂さんは自己紹介をすると


「はい。私は、飛騨国と越中国の境にあります、飛中村とびなかむらに住んでおりました沙穂と申します。そして、側で寝ている三人の子ですが、


右から一番上の子で長女の沙奈さな、長男の次郎右衛門じろううえもん、二男の豊次郎とよじろうにございます。そして、既にお分かりかと思いますが」


沙穂さんの言葉を典厩様が遮りながら


「ま、待たれよ沙穂とやら!今の話の流れから察するに」


そう言いかけると、沙穂さんが


「はい。次郎様は私と夫婦になり、私との間に紹介した三人の子が産まれたのです」


全ての事を伝えると、典厩様は


「な、な、何と!次郎の行方も知らなかったのに、一気に嫁の孫が!」


とても喜んでいた。でも、


「沙穂殿。疑ってしまう形になるが、何かしらの次郎の子と分かる物は無いのか?」


と、浮かれるだけではなかった。質問された沙穂さんは辛そうな顔をしながら


「はい。ですが、典厩様には辛い内容になりますのでご了承ください」


持っていた2つの風呂敷を典厩様に渡す。典厩様は覚悟を決めて、


「見せてもらおう」


そう言いながら、小さい方の風呂敷を開ける。その中には、子供達の衣服と文が入っていた。典厩様はその文を取ると、沙穂さんに


「読んでもよろしいか?」


確認を取る。沙穂さんも


「読んでください」


了承したので、典厩様は文を読み出すが


「では。「父上へ。五年前の戦で逃してもらいました次郎にございます。父上に逃してもらった際、沙穂の故郷の飛中村に身を隠し、そこで沙穂と恋仲になり、子を三人も持つ事が出来ました


父上がこの文を読んでいる頃、目の前には拙者の嫁の沙穂、そして沙奈、次郎右衛門、豊次郎の三人の子供達が目の前に居ると思います


拙者が居ない事を沙穂に聞いているでしょうが、その時、拙者はこの世に居ないでしょう。理由は病に罹ってしまったからです。父上が拙者にしてくれた様に、拙者も次郎右衛門と豊次郎の元服を見たかったのですが、


それも叶わぬ願いとなりました。飛中村は、豊かとは言い難い土地です。そこで親も居ない沙穂が、三人の子供を抱えて生計を立てるのは、厳しいと思ったので


躑躅ヶ崎館がまだ残っている事、父上が生きている事を信じて、拙者が死んだ後、葬儀を終えてから父上か武田家を目指してくれ。と沙穂を説得して、沙穂と子供達を向かわせました


親より早く死んでしまうという、愚か者ですが、それでも沙穂と子供達の顔を父上に見てもらいたいと思っております。そして、拙者の最期の、父上への最期の我儘として、沙穂と子供達を養っていただきたく


父上の様な、素晴らしい武士になれなかった倅の願い、何卒よろしくお願いします」と、、、次郎!!何故、何故、儂より早く逝ってしまったのじゃあ!戦も終わったのに、何故、何故、何故じゃ!次郎!!」


読み終えると、泣き崩れてしまった。誰も、その状態の典厩様に声をかけられない。そして、典厩様は落ち着くと


「沙穂殿、いや、次郎の嫁じゃ。沙穂と呼ぶとしよう。沙穂よ、次郎の遺品は無いのか?」


次郎さんの遺品が無いのかと、沙穂さんに聞く。沙穂さんは大きな風呂敷を差し出して、


「次郎様の遺品です」


とだけ言う。それを聞いた典厩様は、


「中を確認させてもらおう」


そう言いながら、風呂敷を開いていくと、中には甲冑が入っていた。その甲冑を見た典厩様は


「逃した五年前に着ていた甲冑じゃ。こんな、こんな」


言葉に詰まっていた。そんな典厩様に、沙穂さんが


「典厩様、甲冑を持ち上げてください。位牌が中にありますので」


と、伝える。典厩様は即座に持ち上げて、位牌を確認すると、


「次郎。よくぞ帰って来た。父は、父は、父、は」


そこまで言うが、そこから先の言葉が出なかった。それでも、何とか気持ちを持ち直して


「沙穂、子供達の顔をしっかり見せてくれ」


「はい。見てください」


子供達の顔を、しっかり見せてくれと、沙穂さんに頼み、沙穂さんも了承する。子供達の顔をしっかり見た典厩様は


「三人共、次郎に似ておる。中でも、豊次郎は幼い頃の次郎に瓜二つじゃ。まるで、まるで」


喜んでいたけど、豊次郎くんの顔を見て、幼い頃の次郎さんを思い出したのか、次の言葉が出てこなかった


この状況に、虎次郎くんが


「今日はここ迄にしましょう。典厩叔父上、沙穂殿と子供達の事、よろしくお願いします」


と宣言し、典厩様も


「ははっ!」


返事をしたので、話し合いは終了しました。こんなに参加した事を後悔する話し合いは初めてですが、我が子が自分より先に逝くのは、


どんな親でも耐えられるわけ無い。それが分かっているからこそ、誰も典厩様に声をかけられない。だから今日は静かに過ごそう。

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― 新着の感想 ―
これ、「嫁と孫らの将来のため、側室として(孫らは猶子として)もらってくれ」になる?
六三郎が親になって初めてのトラブルが激重ですなぁ…。 特に公共事業を通じて交流を深めていた典厩さんの問題だから、尚の事居た堪れない。
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