感謝と恩義を足した結果
脳筋さん達と利兵衛に策の説明をしてから、脳筋さん達の部下の皆さん、そして屋敷に残ってる家臣の皆さんに同じく策を説明したら、皆同じ反応してましたが、
改めて「首を取らずとも戦国最強の武田を追い返したら俺達の勝ち戦」とハードル低めの目標を設けたら、一気に戦意高揚しましたよ。これで武士達は大丈夫だろう。問題は領民の皆さんですよ。
まあ、女子供は今のうちに裏山に避難させるとして、男達が何人参加してくれるかなあ?この1年ちょっとで行なった食糧事情の改善で大人の男250人は逞しい体つきになったけど。う〜ん、悩んでもしょうがない!
そう思った俺は領民の皆さんを屋敷の大広間に集めた。入りきらなかった人は廊下から話を聞いてもらった
「さて、集まってくれてなんだが、単刀直入に話そう。近い内に武田と戦をする可能性が極めて高い!
そこで、領民の男達250人の中から戦に参加してくれる者を募ろうと思う。勿論、強制はしない!我こそは!と思う者は挙手してくれ」
そう言いながら俺は頭を下げた。時間にして3分くらい経っただろうか。「若様。お顔を上げて下さい」と言う声に促されて、顔を上げるとそこには男達全員が挙手していた。
「皆、本当に良いのか?相手は山賊や野盗とは違うのだぞ?それに」
「若様。先ずは皆の言葉を聞きましょう」
利兵衛がそう言うので、俺は領民の1人に話を振った
「若様。此処にいる我々だけでなく、既に避難している女子供も利兵衛の爺様と年が近いお父やお母達も、皆、若様とお父上を始めとする柴田家の皆様に命を救われたのです
。田畑を改善して米や野菜の収穫量を増やすやり方を教えてくだされただけでなく、猪や鹿を食べるお許しを下さり、山賊や野盗を全滅させてくださって、健康で安心して住める村を作って下さいました。
そんな若様達をお守りする事は、巡り巡って我々の家族を守る事になるのです。だからこそ、我々は全員戦に参加します」
「そのとおり」
「若様達が居るなら安心じゃ」
「武田なんぞに好きにさせぬ!」
「我々の命、若様に預けます」
「そうじゃ!若様の為なら、この命惜しくもなんともない」
「皆、若様達をお守りするぞ!」
「「「「「おおおおお!!!!!」」」」」」
とてつもない熱気だった!皆のこの熱気に気づいたら俺は泣いてたよ。
「皆の気持ち、誠に感謝しかない!こんな小童にそこまで」
「若様、そろそろ皆に策を」
「そうであったな。では皆、これより策を話す。良く聞いてくれ」
俺は策を皆に話した。すると
「それは若様が特に危険な策ではありませぬか!」
「若様も裏山にお逃げくだされ」
そんな声が殆どでした。でもね、やるしかない状況なんだよ
「皆の気持ちは分かる!だが、儂はこの地を納める柴田家の嫡男じゃ!当主である父も父を補佐する重臣も居ないなら、儂しか居らぬ!そんな儂が逃げたら、
皆からの信頼が無くなってしまう!領民を守ってこそ武士じゃ!だからこそ儂は領民の皆と共に前線にて働く!
儂が皆の命を預かると共に、儂の命も皆に預ける!だからこそ、共に武田を撃破出来るのじゃ!改めて言う!儂の命、皆に預けた」
「「「「「「おおおおおお!!!!!!」」」」」」
俺の言葉の後に屋敷が壊れるんじゃないかと思う程の鬨の声が響いた!これでいつ戦になっても大丈夫だろう。




