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転生武将は戦国の社畜  作者: 赤井嶺


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内容重くも見るべき書状

天正三年(1575年)六月十五日

美濃国 岐阜城内にて


「さて。六三郎よ。領地へ戻る前に、お主に、いや、お主は絶対に見るべき書状を手にした」


「え?」


皆さんおはようございます。事後処理も終わって領地に戻る準備をしておりましたら、親父に呼び出されて、殿の前に来ております柴田六三郎です。


何かやらかした記憶はないけどな。でも、書状と言っていたから、家康か於大様かな?と、思っていたら、


予想外の人物からでした


「書状を書いた者は、山県三郎兵衛慰昌景。赤備えを率いておった武田の重臣じゃ」


赤備えを率いる山県は武田四天王の1人じゃないか。あれ?でも、確か


「殿。その山県とやらは確か」


「うむ。先の戦で討死しておる。恐らく、この書状は戦の前日にでも書いていたのだろう。そして、我々に気づいて欲しかったのか、書状を握りしめたままで


死んでおるところを家臣が見つけた。その内容を儂が最初に読み、次に権六に読ませた。そして儂も権六も、この書状は絶対に六三郎に読ませるべきだ!


という結論に至った。六三郎よ、お主とお主の家臣達に関わる事じゃ。しっかりと読め」


と、言って殿は俺に件の書状を渡してきた。


「では。「この書状を書いた拙者の名は、山県三郎兵衛慰昌景と申す。書状が読まれている頃、拙者は間違いなく死んでおりましょう。


そこで、この書状を願わくば織田家家臣の柴田殿へお渡し願いたい。


柴田殿がこの書状を読んでおります事を信じて、書を認めております。


柴田殿へ、拙者は武田の忍び、織田家では間者と呼んでおる者からの報告で、嫡男の「柴田の鬼若子」殿に


拙者の甥の飯富兄弟を始めとする者達が仕えている事を知りました。


そこで鬼若子殿を通じて、甥達に伝えていただきとうございます。甥達は信じてくれぬかもしれませぬが、


甥達の父親で、拙者にとって兄にあたる赤備えを創設した飯富兵部少輔虎昌の死について、


甥達は父親が信玄公の命令で自害したと思っているでしょう。自害の理由も傅役を務めていた、


当時の武田家嫡男だった太郎義信様を止められなかった責を負わされたと思っているはずです。


その太郎様は御正室の実家である今川家を弱体化から救おうと考えていたのですが、


父であり武田家当主の信玄公は、領地拡大方針で駿河国を奪おうと考えており、対立しておりました。


そこで太郎様は信玄公を追放して、家督を奪う計画を兄に伝えたのですが、兄は武田家中が割れてはいけないと判断し、


拙者を通して信玄公に計画を伝え、謀反を企てたとして罪を全て自分が受けるから、太郎様の罪は問わないでくれと


懇願し、信玄公もそれを受け入れ、兄が切腹したのです。その結果、拙者は兄の領地と赤備えを引き継ぐ事になったのですが、


甥達は、その様な複雑な事情を知らないので、拙者の事は「父の全てを奪った男」と恨んでいるでしょう


今更、甥達に弁明の機会など無いので、甥達の主君である柴田の鬼若子殿にこの事を甥達に伝えていただきたく。


そして、もしも、拙者の倅や娘達が武田を見限って鬼若子殿の元へ来ましたら、小者の様な低い立場でも構いませぬので、召し抱えてくれませぬか?


この書状を見せたら、子らが有り得ぬ程の阿呆でないかぎり納得するはず。


無様に戦で討死した敗軍の将なれど、親として残された子の行末は気になるので、何卒」とありますが」


「それを読んで、どう考える?」


「正直に言わせてもらうならば。名将と言えど人の親。そして、飯富兄弟の父君の死は主君に命令されたのではなく、家中をまとめる為に自ら行なった事だと、


知ってもらいたい。そして、願わくば子らが召し抱えられた時に飯富兄弟と争わないで欲しい。そして、父君を止められなくて済まなかった。との内容であると考えます」


「うむ。概ね読み取れておるな。そこでしゃ!六三郎、お主は山県の子らが召し抱えて欲しいと来た場合、如何する?」


(いや、殿?大分重い内容ですがこの場で答えないとダメですか?まあ、俺が源太郎と初めて会った時に思った事を伝えるか)


「拙者としては、「親の罪を子に着せてはならぬ」と思っており、源太郎にもその考えは伝えております。


なので、もしも山県殿の子らが召し抱えて欲しいと来たならば、全てを捨てて身ひとつで来た場合は召し抱えたいと思います」


「そうか。分かった。もしも本当に山県の子らが来たならば六三郎の好きにせよ」


「ははっ。改めてですが、呼ばれた理由はこの書状の件なのでしたら、領地へ戻る準備に取り掛かっても良いでしょうか?」


「待て待て。領地に戻る前に六三郎よ。お主の希望した権六の新たな嫁じゃが、長月の頃に権六と共に領地に行かせる。その事含めて家臣達に伝えておけ。


そして二郎三郎の側室の古茶殿親子も浜松城に戻してよいと、二郎三郎本人から連絡があった。


お主の正室になる予定の於古都姫も一時的に浜松城へ戻る。まあ、年頃になったら、再び会って夫婦になるじゃろうから、無事に育つ事を願っておるのじゃな」


「ははっ。では」


「それとじゃが」


「まだ何か重大な事が?」


「道乃の事じゃ。お主の側室でも構わないと言っていたそうじゃが、許可しよう。帰蝶も六三郎なら納得じゃと言っており。利兵衛にもその様に伝えておけ。


そこから先の事は権六が領地に来た時に話す事にしておる。此度はここまでじゃ。領地に戻れる様に準備して、好きな時に出立してよいぞ」


「ははっ。それでは失礼します」


六三郎は挨拶をすると、早足で部屋に戻った。六三郎の足音が聞こえなくなると、信長と勝家は


「権六。誠によい倅じゃな六三郎は」


「元服もしたのに、時折子供じみた所はありますが、少なからずうつけ者な行動がないのならば、拙者としては嬉しい限りです」


「ふっふっふ。あれ程の若武者ならば、二郎三郎と話し合った例の件も進めてよいな」


六三郎はまた徳川家の所に行く案件が出た様だ。

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