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転生武将は戦国の社畜  作者: 赤井嶺


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尾張で最期の予定の肉体労働

この作品はフィクションです。史実と違いますので、その点、ご理解ご了承ください。

元亀元年(1570年)十二月三十日

尾張国 柴田家屋敷にて


「これで美濃へ送る荷物は最期じゃな」


「は。殿より渡されました目録の物は全て外に出しまして、美濃の新たな屋敷へ順次送られております」


「うむ。これで父上達が美濃へ行っても大丈夫であろう」


「しかし若殿、良かったのですか?」


「何がじゃ?」


「若殿も殿達と共に美濃へ先に行っても良かったと思うのですが」


どうも皆様、現在寒い年末に屋敷中の物資を「必要な物」と「不必要な物」に分けております。吉六郎です。家臣の半数が親父と共に美濃へ出発しまして、本来なら俺も親父達と同行する筈なんですが、


親父が「柴田家の人間が屋敷を壊す作業の陣頭指揮を取らないでどうする?だからお主が、吉田達と共に村の皆と作業して、後から美濃へ来い」と、


まあそれもそうだよね。的なフリをされまして、吉田のおっちゃんと一緒に屋敷に居ます


「まあ、父上が後から来いと言うなら仕方あるまい。それに、ほれ。新しい領主が殿の御舎弟である三十郎様に決まって、引き継ぎ等の作業をお主達家臣任せにしては、無礼と言われかねぬからな。


ほれ、明日の朝には屋敷を壊して三十郎様の屋敷に行くぞ!この屋敷と真逆の位置に有るのだから、早めに終わらせようではないか」


「ははっ」


そう言って俺達は作業を再開した


翌 十二月三十一日


「よーし、皆。木槌は持ったか?」


「持ちましたぞ!!」


「若様、儂らも持ちました」


「準備万端の様じゃな!それでは行くぞ!せーの」


どーん!!


「せーの!」


どーん!!!


おはようございます。吉六郎です。現在時刻は推定朝五時です。領民の皆さんと一緒に屋敷を壊しております。


しかし、時代のせいだから仕方ないが重機が無い作業はこんなにも時間がかかるとは。人数多めだから滞りなく作業は進んでいるけど、仕方ない。俺も頑張るか。


「儂も参加するぞ!皆でやれば早く終わるはず」


「若殿、それは」


「気にするな!父上が何か言っても儂がやった事じゃ!お主達に咎が及ばぬ様に、儂が父上に言っておく」


「申し訳ありませぬ」


「さあ、壊しまくれ!更地にするぞ」


と、頑張りまして何とか朝十時には屋敷が綺麗さっぱり無くなりました。


「よし、更地になった!皆、良く頑張ってくれた!我々から握り飯と味噌汁と酒じゃ。握り飯と味噌汁はここで食べて良いが、酒は村に戻ってから呑んでくれ」


「若様!ありがとうございます」


領民の皆が握り飯と味噌汁を食べ終えて、酒入の徳利を持って帰るのを確認すると


「さあ、疲れておる所すまぬが、まだ朝のうちに三十郎様の屋敷に行くぞ!!渡すべきものを渡して後の事は三十郎様に任せてしまおう」


俺は家臣の皆に呼びかけながら、荷物を三十郎様の屋敷に向けて出発した。

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