歴史が動く前のひととき
この作品はフィクションです。史実と違いますので、その点、ご理解ご了承ください。
元亀元年(1570年)十一月二十五日
尾張国 柴田家領地にて
「うわー!」
「次は誰じゃ?」
「拙者が参ります」
どうも吉六郎です。秋の稲刈りも終わって、領民の皆さんに「若様、しばらくは田植えも無いので猪や鹿を狩りに行くのも人数を多く出せます。
御予定はありませぬか?」と見廻りに来たら掴まると同時に言われました。正直まだ鹿肉も猪肉も余裕はあったけど、明智様の嫡男の十吾郎くんが幼いながらも「是非とも狩りに参加させていただきたいです。
お願いします」とやる気満々だったので狩りの準備をしていたら、親父が珍しく村に来て、先程の修練をやり始めて、俺が親父と対峙している状況です
「そりゃー!」
「甘い!」
グルン!と見事に親父に模擬槍で一回転させられました。親父よ、あなたは中国武術とか学んできたのですか?俺がそんな事を考えていると
「百姓の皆も、儂が鍛えてやろう!我こそはと思う者は我が家から持ってきた模擬槍でかかってまいれ」
何か親父が領民の皆を鍛えるなんて言い出した
「宜しいのですか?」
「構わん!」
領民の皆、特に俺より少し年上の十歳〜二十歳くらいの男達が親父の発言を聞いて、模擬槍を取って立ち向かった。まあ、予想通り親父の圧勝に終わりましたけど。終わったと思ったら親父が少し寂しげな表情で
「村長、明日の朝で構わぬ。大人数人を屋敷に連れて来てくれ!大事な話が有る故」
「?は、はは」
何か大事な話とか言い出したけど?




