明智様の嫡男•••君?
この作品はフィクションです。史実と違いますので、その点、ご理解ご了承ください。
「吉六郎様。明智十五郎でございます。本日より修練に参加させていただきまして、誠にありがとうございます。」
どうも吉六郎です。親父達の宴会から二日後の朝です。
親父が言っていた「明智様の嫡男が修練に参加する。お前より年下だからうつけな振る舞いするなよ」と言う事で、どんな嫡男様が来るかと思って待っていたのですが
「えーと、十五郎殿は何歳なのですか?」
「三歳になりました」
俺より年下なのは聞いていた!だが、身体がここまで小さいなんて聞いてないぞ!
それこそ、今日も修練に来ている犬千代殿の半分くらいの身長じゃないか。現代で言ったら保育園児の年齢、は俺も一緒だったな。
ただ、俺は親父のスパルタ教育と鹿や猪も食べていたから数えで六歳とは言え、同い年くらいの男児の中では1番デカい。
もっと言ったら、柴田家の家臣やそのまた家臣までもがデカい!うちと同じく鹿や猪を食べて毎日鍛えていたら、大人の面々は全体的に逞しくなったんだけど、十五郎殿、いや十五郎くんはどうしよう?
俺が考えていると「吉六郎殿」と呼ぶ声が後ろから聞こえたので、振り返ると明智様が居た
「吉六郎殿。十五郎の為に特別な修練なぞ考えなくて結構です。昔からやっていた修練をやってくだされ。それで十五郎を鍛えてくだされ」
明智様はそこまで言うって事は、「飯も食わせてやってくれ」って事だよな。これは、昨日のうちに村の皆に猪退治をお願いしといて良かった
「明智様、承知しました。十五郎殿も我々と一緒に逞しくしていきたいと思います。十五郎殿が心配かと思いますが、殿の元へお戻りください」
「分かり申した」
こうして明智様は清洲に向かっていった。さて、修練開始しますか。と思っていると
「吉六郎!!ちゃんと修練しておるか?」
親父!あなたの声帯は朝から元気すぎませんか?俺、犬千代殿、市松、夜叉丸は慣れてるから平気だけど、十五郎くんは
恐怖で泣きそうな顔になってるじゃないか
「父上!父上のお顔は、慣れてない人間にはとても怖いのです。そこに大きな声を出そうものなら、恐怖の対象になるのですから、朝から大声を出さないでくだされ。十五郎殿が怯えておるではないですか」
いつもだったら此処で言い返す親父だが、流石に俺より年下が居ると、少しだけだが優しくなった
「其処にいるのが十兵衛の嫡男か。驚かせて済まぬな。儂の倅の吉六郎と共に身体を鍛えて、将来織田家に役立つ武士となるのだぞ」
「は、はは」
十五郎くんが親父に頭を下げると、親父は飯を急いで食って清洲に向かっていった
「さて、父上達は清洲に行きましたが、我々は修練を始めましょう」
そう言って先ずは模擬槍を振ったけど、十五郎くんは俺が三歳の頃に振ってた子供用の模擬槍ですらフラフラしてる。まあ、最初はこんな感じだよ。ねえ?




