未来を変える為
天正二年(1574年)七月一日
美濃国 柴田家屋敷内にて
「どうするか。うーん」
「若様。何か新たな問題でも起きたのですか?」
「いや、利兵衛。領内は特に問題無い。儂個人で思うところがあるのじゃ。しばらく一人にさせてくれ」
「分かりました。何かありましたら、お呼びください」
そう言って利兵衛は部屋を出て行った
遅くなりましたが、皆さんこんにちは。現在、色々と考えてる柴田吉六郎です
先月、古茶さんから娘の於古都ちゃんを嫁にもらってください。とお願いされて、於大様、水野様からもお願いされて、とりあえず殿達次第。
と言う流れになったのですが、これはよくよく考えてみたら、もしもこのまま史実どおり進んだ場合、殿と勘九郎様が明智様に討たれて、秀吉と親父の争いになって、
親父が北ノ庄城で自害する事になっても、俺は家康さんの娘婿だから助かる可能性は一応あるけど、そもそもの話で、
本能寺の変が起きない様に動く事、そして万が一、本能寺の変が起きた時、親父が中国地方に居るか、四国征伐の準備で畿内に居たら
秀吉よりも早く明智光秀を倒したら、その後の争いが起きなくなる可能性は高い。
ただ、それは逆に言えば、北陸方面か関東方面に秀吉が行く様に仕向けないといけない事になるから
親父が直近の戦で武功を挙げたとしても、殿に言われるがままになりそうだしなあ
それなら、俺か?俺が元服して、武功を挙げて殿に「中国地方か四国での戦に柴田家を行かせてくれ」とリクエストを出して叶えてもらったら
何とかなるかもしれない!それこそ、「領地は親父から貰うから希望を通してください」とか言えば
このままだと「座して死を待つ」だけになる。それなら、自分から未来を、いや運命を変える為に動くんだ!
道乃や三吉、そして紫乃さんにも戦の無い世の中を、皆が笑ってすごせる世の中を作ると約束した!
それに万が一、秀吉の天下にさせたら道乃が秀吉の側室にされる可能性は高い。史実だと秀吉は名家の娘を好んで側室にするし、
美女や美少女好きで権力に物を言わせるだろうからな。それを言ったら於古都ちゃんも狙われるか
そして、俺の嫁になるかは分からないけど、於古都ちゃんにも尼さんにならずに色々な楽しみを知って欲しいじゃないか!
於義伊くん、後の秀康も秀吉が天下を取らなかったら激動の人生にならない筈だし
うん。これは俺だけじゃない、親父を含めた俺の大切な人達の運命、いや人生がかかっている!
これは壮大な賭けだ!親父が死なない為に、本能寺の変が起きない為に、周りの皆が不幸にならない為に!
俺がやるべき事!いや出来る可能性がある事、それは来年起きるであろう、織田徳川連合軍と武田軍の戦、長篠•設楽原の戦いで武功を挙げて、殿に親父を西に行かせる事だ!
親父は俺の元服をまだ早いと言って止めるかもしれないけど、それでもやらないといけないんだ!
決めたぞ!親父に小言や拳骨ですまない程、説教されたり殴られたりするかもしれないけど、それくらい我慢出来る!
大事な人達を不幸にしない為だ!
「利兵衛!!」
「若様。如何なさいましたか?」
「利兵衛!儂は決めたぞ!」
「何を決めたのですか?」
「儂は元服する!そして、今年か来年に起こるであろう武田との戦に、父上と赤備えの皆と共に参戦する!」
「若様はまだ十歳で、す、が。お顔を見て本気なのだと悟りました。大殿にその旨の文を送りますので、御自身でお書きくだされ」
「うむ!これで岐阜城に来いと言われたら、喜んで行こうではないか!」
さあ、俺や大切な人達の未来を変える為の長い戦の始まりだ!




