肉体労働者に最適コンビ
さて、お好み焼きを殿は気に入ったのか、完食してくれた。次も炭水化物になるけど、大量じゃないし大丈夫だよな?
で、次のメニューはうどんと天ぷらのセットだ!味変用のとろろとおろし生姜も準備して出す
先ずは領地から持って来た雉で取った出汁を温めて
「あの、柴田様。その汁は何ですか?味噌汁とは違う様ですが」
料理人さんも興味がある様ですね。まあ、小皿の一杯や二杯くらいなら飲ませても大丈夫だろう
「これは雉の骨から取った汁です。味見してみますか?」
「是非とも」
で、小皿に入れて飲ませたら
「これが、雉から出たとは。何とも美味い味じゃ」
「まあ、他にも野菜を入れて少しばかり味を調整してますが、基本的には雉と野菜だけです」
「我々も思いつかない料理だけではなく、汁物も新しい物を作るとは!」
料理人の皆さんが気に入ったのか褒めてくれてます
そんなタイミングでお出汁も温まった様なので、生地を麺に切っていきます
トントントントン
トントントントン
「おお。切られた物が全て同じ長さであり、同じ太さじゃ」
「何と器用な」
皆さん、殿が気に入ったら作らないといけないから頑張って覚えてくださいね
で、切り終えたら沸騰したお湯に投入する前に置いておきます
「さて皆様、次は少々危ないので、気をつけてください。大量の油を使いますので」
「大量の油をどうなされるのですか?」
「今からお見せします。ですが、拙者ひとりでは最初の工程が出来ないので家臣を呼びます。源次郎!」
「若様!お呼びですか!」
「うむ。お主の力が必要じゃ。領地でお主達に食べさせた山菜や雉の肉に麦粉を纏わせた物を殿にお出しする。
その油が入った甕を持ち上げて、中の油を鍋に儂が良いというまで入れてくれ」
「ははっ!では」
そう言うと源次郎は甕をあっさりと持ち上げた。料理人の皆さんからは
「あ、あの甕を軽々と持ち上げた?」
「あの甕、たしか二十貫くらいありましたよね?」
「あの身体だと、あれくらい軽いのだろうな」
皆さんの驚きの声をよそに
「良し!」
油が適量になったので源次郎には待機場所に戻ってもらいましたが、やっぱり動きにくそうだな
まあ、油の温度を上げつつ天ぷらの生地を作って、山菜と鳥肉に薄く纏わせて、
油も良い感じの気泡が出ましたので、準備完了ですね。揚げる前に
「すいませんが皆様、こちらの自然薯と生姜をすりおろして小皿に置いてください」
「は、はい」
皆さんが作業を開始してから
ジュワワワ
パチパチパチ
と揚げの開始です
「し、柴田様。何やら大きな音が」
「大丈夫です。領地でもやってましたから」
そう言って間もなく、
「完成じゃあ」
そしてうどんもお湯に投入して、大体3分後
「こちらも完成じゃ」
「柴田様。こちらも出来ました」
「かたじけない。御膳にまとめて、よし殿に」
持っていこうとしたら、蘭丸君が居ました
「森殿?いつからそちらに」
「最初の「完成じゃあ」の時からです。殿が「何やら騒がしい音がするから見て参れ」と」
「そんな時からですか。お恥ずかしい。それよりも出来ましたので、殿へ」
「そ、そうですな」
流石、殿の小姓筆頭の蘭丸君。空気を読んでくれたのか、特に何も言わずに持っていってくれた
そして、
「ほう。今度は汁物か。どの様にして食すのじゃ?」
「はい。汁物の横にあります麦粉から作った物を汁物につけて、一気に食べるか、少しずつ食べるか個人に任せております」
「そうか。では、少しずつ食ってみるか」
そう言って殿は麺をお汁に全部入れて、少しずつ食べだした
ズルッ!ズルッ!
4分の1程を食べると
「吉六郎!これは簡単に食える上に美味い!この汁も、中々の味じゃ!
それらが混ざる事で更に美味くなる」
「そう言っていただけてありがたき。ですが、御膳の中にあります、すりおろした生姜と自然薯を入れた場合、味や食感に変化がうまれます。
そして、それらと共に山菜と雉肉に麦粉を薄く纏わせた物を食すと美味いと、家臣達には好評でした」
俺の説明を聞きながら殿は、生姜で味変した後に、とろろで更に味変して、
天ぷらも一緒に食べて、大満足な顔になった
「うむ。吉六郎よ。これも堺や京で売りたい物じゃな」
「はい。最悪、麦粉だけでも売れたらありがたいのです」
「よかろう!何とかしようではないか。だが、吉六郎よ。この様に二つ三つで終わりではないよな?」
「勿論、他にもありますが、それは準備に長い時を要しますので、明日でも宜しいでしょうか?」
「うむ。明日で構わぬ!期待しておるぞ!」
「ははっ」
こうしてプレゼン初日は終了した




