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洞へゆく

 岩だらけの山をを歩く。いつも通り依頼を受けた魔獣の排除のためとはいえ、不整地を進むにはまだ慣れない。山の奥には真っ暗な深淵に続くような洞窟。伝説に従うならば大昔の魔王が作ったダンジョンだと言う。この頃中の魔獣が増えすぎて問題になっているのだ。

 洞内から出てきたものを片っ端から切り飛ばす。最初は生き物を殺すことに躊躇があったけれど、今はそうしなれば自分が危ないことを知ってからなにも思うところはなくなった、いや、そう思うことにした。心が死ぬとはこういうことなんだろう。

 鉄道省の祝賀行進曲。その華やかな調べに合わせて機関車工場の鉄扉が開く。そして、鉄扉の外に張られた紅白二本の布テープを引き裂きながら新型機関車がゆっくりと姿をあらわにする。帝国鉄道省四一形蒸気機関車、と名付けられたそれが。なんと力強そうな機関車であることか。煙突の前に取り付けられた給水温め器。砂箱と蒸気だめは一体化された覆いがかけられている。給水ポンプがついたことにより成り立つ大型ボイラ、動軸は四軸だ。その動輪はスポーク式ではない。試作の品ではスポークが破断したり屈曲したりしたがゆえの新構造である。用はモナカ構造だ。牽くべき列車の規模増大に備えてコンプレッサも複式の大型のものになった。帝国最強の機関車にして最大のテンダー機関車となった眼前の最新鋭機関車。ああ、この瞬間に立ち会えるなど、こんなにうれしいことはない。

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