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親衛隊技術研究所でその参 試射

 少年はファルケンハインによってあっさり取り押さえられた。マァなんだ、国家の最高指導者に武器らしきものをもって駆け寄ればそうもなるだろう。同行していた指揮官少将の顔を青くしている様はもう。それはそれで良いものを見た気もするがね。誰かをからかうのは面白いものだ。あるときは『職業禁止』をちらつかせてみたときもある。あれは、誰だったか忘れたがある音楽家だった。まぁ本当に職業禁止にしたんだけどね。そいつはそれが苦で死んだんだかな。つまらないオモチャだった。


「さて、少将殿。どうするかね。来年は予算要らないようだが。」


まるであれだ、生まれたての小鹿のような震え具合だ。全く見ていて面白い。


「マァ、なんだ。彼の者の言い分も聞いてみなければならぬ。暗殺にしては雑なこの騒ぎの、な。」


その少年の戦闘帽(りゃくぼう)は顎紐をかけていなかったからであろう、とれ落ちてその顔を明らかにしている。


「で、目的は何かね?」


頭を押さえていたファルケンハインの手が少し弱まる。答えさせるためだ。


「ボクは、研究の成果を見てもらいたくて」


「成果、とは君が手にしたこれかね。」


拾い上げてみる。見た目からして拳銃か。弾倉は、入っていない。銃後端の遊底(ボルト)を引ききり薬室(やくしつ)内も見てみるがこれも空だ。遊底を離せば、シパリッと軽快な音と共に閉鎖する。なるほど。


「面白い。射場はないか。これを試してみたい。」










 射場に立つ。この自動拳銃らしきものを机に置く。相変わらず拘束されたままの少年。ファルケンハインに離すよう言う。


「で、どんな構造なのかね。分解したまえ。もちろん説明も忘れずに。」


 少年は銃後端の遊底、その頭部を左に回しながら引く。それが発条(バネ)をともない抜ける。そのあとボルト本体ともつかぬそれを九十度回す。そして今度は銃把(グリップ)下部のネジを抜いて銃把の板を外した。そして引金後ろのこれまた細いネジを抜いて、銃身を押し下げてやりながら引き金の繋がる部分を引き下げた。そして銃身を前方に引き抜いてやる。その時銃把の上の方からから何やら小さい部品が出てきた。そして銃身後部に入り込んでいた遊底本体を抜き出した。そしてその中から撃針を伴う撃茎。遊底の中身はまるで帝国陸軍の三八式を見ているようであった。遊底を動かすためのキャリアであろう先程九十度回してたてた環を回した。そのときに連なる筒の反対側を押さえている。それが外れたあと筒から長いロッドとバネが抜き出された。そして最後に銃本体左側面に出ているピンを九十度回して抜いた。そしてそっとその裏側から細い板を引き出した。


「で、どんな機構なのかね。見当はつくがね。」


少年は誇らしげに何がどのように動作してどうして弾を装填しつつ撃発姿勢にして、発射するかと語る。その姿がなぜか面白い。しかし戦闘帽(りゃくぼう)が似合わんな。


 組み上げられたそれを、手にして見る。さっき持ったときもそうだったが、しっくり来る感がある。少年のポケットから出てきた弾倉を銃把下から入れる。そして遊底を引ききり離す。そして標的に向けて、撃つ。軽い。引き金が軽い。しかし違和感あり、か。その他はともかく快調に動作している。


「素晴らしい。」


「でしょ、でしょう!」


「だが、不採用だ。ここで出せる欠点を挙げれば、第一に安全装置の欠如。第二は整備分解にネジがあること。戦場で常に工具があるとは限らぬ。第三に引き金の引ききりと撃発までが長く、ストッと切れないから違和感があるし、狙いがそれやすい。まずはそれらを改善せよ。」


必死にメモを取る少年。


「名はなんと言うのかね。」


「ナディア、ナディア・キースリングだよ‼」


少女であったか。言われてみればそうとも見える。


「さて、少将殿。この少女の研究成果に免じて許してやろう。ただし、少女と上級監部は半年の減俸。」


少将が膝から崩れ落ちた。というか泡を吹いて気絶した。つまらん。


その時一人の下士官がやって来た。そして一言、言い放つ。「反乱が起こりました」、と。

ナディア・キースリングの名前の由来は南部麒次郎だったりする。彼女は後に小銃の改良から機関銃まで小火器ならほとんど関わるようになる。

感想を呉。他は何も要らないからとにかく感想を呉れ


2018.4.14

以下転載防止文字列

反動中共粉砕、民主化‼不忘六四天安門同志‼習近平黄熊殴殺‼

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