獣の詩
ユキは、あっけなく諦めたように体の力を抜いた。そのまま押し倒す。その頚から口を離した。鉄臭くなった口の中が気持ち悪い。ユキの頚の傷は徐々に塞がって行く。一方でこちらはどうにもならぬ。肉裂けて骨折れ、あらぬところから曲がっている左腕。他の切傷からもまだまだ血が止まらない。暑い。体の芯から灼けるように熱い。獲物を犯してしまえと云う獣心。ならぬという人心。不可能なるを告げる肉体。くたりと崩れ落ちそうになったときに、何者かが後ろから抱きすくめた。意識はふやぅっと溶けるように失せた。
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気が付けば担架に載せられて運ばれていた。どうやらもと来た道にしたがって、用水の中である。肩の高さに担がれて、ゆっくりと進んでいる。何もやるでもなく、上を見ているしかない。左腕はギッチリと何かで固定され、傷口も何やかにやで塞ぐべく格闘した痕跡がある。他の連中はともかく、この体に回復系の魔法は効かないからだろう。全く迷惑をかける。なぜ効かないか語れば長くなるが、それをできるような状況ではない。激烈な睡魔が、この身を蝕むのだ。回復の為にも眠ろう。
2018.4.14
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反動中共粉砕、民主化‼不忘六四天安門同志‼習近平黄熊殴殺‼




