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道に咲く華  作者: おの はるか
私たちは希望の道を諦めない
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探求編 一手

「くそがああああああああああああああああ!」


 ひたすらに飛び交う光弾を吸収していく悪魔。吸収するたびにセーラの魔力が減り悪魔の魔力が回復していく。


「まだまだおかわりあるわよ?」


 だが、そんな状況にもかかわらず不敵に笑うセーラ。自身の魔力を限界まで撃ち果たすと銃をおろす。


 しかし、それでも光弾は続く。彼女の銃から放たれたものではない。空から、そして地平線の彼方からも飛んでくる。その数はどんどん増えていく。ソルトとプレアも巻き添えを食らわないためにいったん距離をとる。

 少し遅れて悪魔も状況がおかしいことに気づく。


「ぐ……が……なぜだ……なぜおまえが撃つのをやめても魔力が集まって……」

「ナイルが言ったのよ。魔力は物質にして撃ちなさい。それがずっと残るように、ってね」


 そう言う間も色とりどりの光弾が悪魔に着弾し続ける。その数はどんどん増していく。


「それが何の……まさか!?」

「ナイルの頭覗いてんならそれくらい読み取りなさいよ! この十年! 毎日あなた一人分の魔力を撃ち続けてきた!」


 同時に、空が曇る。いや、雲が出てきているわけではない。だが恒星の光が何かに遮られた。それは一つ一つはこぶし大の大きさしかないものだった。


 上空から飛来するのは幾千幾万では済まない魔力の光弾の数々。


「毎日空へ、宇宙へ向かってあなた一人分の魔力! それを三百日やって一年! さらにそれを十年間! 自分の何千倍もある力を吸収できるならやってみなさい!」

「ぐ、おおぉおおおおお」


 光を遮ったのは、この十年間彼女が撃ち続けた光弾。すなわち悪魔の魔力計三千匹分。それを彼女の【神届物】を使うことによって宇宙の果てにまで飛んでいようが、海の海底に沈んでいようが、それらが一斉に目の前の悪魔に引き付けられていくのだ。


 絶え間なく着弾し続けるそれに対し、吸収も限界が来たのか、ナイルの体に光弾が吸収されなくなった。一発一発がナイルの体にぶつかり、傷を与えていく。多少は回復した魔力で対応しているようだがその数は軽く億を超えている。


「な、なんだあれ……」


 目の前の後継に圧倒されながらソルトの口から驚きの言葉が漏れる。答えるのはプレア。


「ナイルの策の一つだと思う。私たちには一言も伝えてなかったけどこうしてあいつに効きそうな対処をあの子は考えてた。悪魔自身には悟らせないようにしながら。それでいてこの状況になれば気付けるくらいのヒントを残しながら」


 ぶつかった光弾は砕けながら地面に落ちていく。砂のようになりながらも濁流となってソルトたちも飲み込もうとしてくる。


「が……あがああああああああああ! よくもこけにしてくれたなぁ! しかもこれ……なんか混じってやがる!!」

「ふっふ~ん。ちなみに~光弾にまぜた魔力の万分の一は私の魔力も込めて撃ってたからね!」


 余裕を見せるセーラ。数分間に続く爆発により悪魔を足止めできたことで、すでにシャルとチェリシュは安全と思われる遠方まで運ぶことに成功した彼ら。だが今の攻撃でも悪魔は倒れてくれない。


「くそう……くそっ……くっそおおおおおなめやがって! ならこうだ! 地上でおびえてなぁ!!」


 悪魔は新たに翼を背中から生やすと一気に上空へ舞う。上空からならば自由に攻撃できると踏んだのだろう。その速度は人の身で追うには如何に身体強化を施そうと厳しい。


 だから


「【勇魔大封】」


 ソルトが、結界を張る。立体的に、魔王であろうと距離をとることを許さないその結界は上空へ向かおうとした悪魔と激突し、そして地面に叩き落した。


 だが、目的が果たされなかったにもかかわらず悪魔の顔に浮かぶのは余裕。何故なら、狭い結界に閉じ込めるのであればソルトたちの逃げ場も少なくなる。先ほどの光弾による傷も徐々に癒えてきている。


 また、もともと駐屯地だったこともあり今この場所には身を隠す場所も満足にはない。


「そうかそうか。ぎゃはははは。接近戦をご所望かぁ!」


 地面に墜落した悪魔だったが、今度はその速度をもってソルトへ飛び掛かる。



 が、真正面からの攻撃ならばソルトにとって避けるまでもない。それになにより、先ほどとは一つ違うことがあった。


「悪魔さん。敵意が芽生えてますよ」

「なに?」


 目視することすら難しいその悪魔の攻撃の数々。だが、ソルトには悪魔の腕が、口が、どの場所を攻撃するのかを手に取るように把握する。


 そしてそれを剣で受けることすらなく体の位置をずらすだけで対応し、仕返しとばかりに切り返す。


 ブシュッという音とともに血飛沫が舞う。ソルトが切ったのはナイルの腕。悪魔の能力により頑強となっていたその部分だが魔力を乗せた的確な斬撃の前には無意味であった。


「ち……どういうことだ……俺様が……? お前ら如きに敵意だ? ふざけるんじゃねえぞおお!!!」

「隙あり」


 ズドンと、悪魔のわき腹に大きな穴が開く。悪魔の足を持つテイルが接近に気づかれる前に槍で貫いたのだ。


「がふ……。いや……せっかく身体を取り戻したんだ……。神の悲願を……俺様は……」


 倒れる悪魔。腕を切られ腹に穴を開けられている状態。人間のカラダでは立ち上がるのも困難な状態。


 だが、中身は人ではない。悪魔が何かをうめくごとに周囲の魔力が彼のもとへと集まりだす。


「みんな! 警戒! 何か来る」

「そうだ……俺様こそが! 神の代行者だあああああ」


 傷が復元されていく。治癒ではない、その証拠に瞬時にふさがり、腕も元通りだ。


「さあ。早く俺に力を返せ。ぎゃははははははは」

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