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道に咲く華  作者: おの はるか
私たちは希望の道を諦めない
151/174

正義の使徒編 戦闘終了

「まずは一人」


 剣で切りかかってきた戦士の首をはねる。


 確かに戦士の魔法はソルトには見えていなかった。しかし彼の得意とする探知魔法は【悪意探知】。初撃の弓同様に、どこから、どのような軌跡で襲い掛かってくるかはわからずとも、相手の狙う部位さえ把握することができればソルトはそこを守るだけでいい。


 ソルトのことは倒れた戦士が一撃で倒してくれると思っていたのか、この決着に驚き足を止めてしまう。そこを地面から土魔法が、地面が棘となって彼らを襲う。


 当然、ソルトの詠唱を唱えない魔法程度では奇襲部隊を任された戦士たちを倒すには至らない。しかしこの魔法のよけ方が彼らの命運を分けた。


「幻の道しるべ。示すは終わり。全ての交信を断絶せよ。空間断絶【四方結終】」


 シャルの詠唱が響く。終わったのは上空に飛んだ戦士、および頭上から矢や魔法を放っていた者たちだった。

 ソルトを巻き込まないよう、彼の頭上、人ひとり分の余裕をもって、シャルの魔法は発動する。直接攻撃は特殊な魔法を持っている相手に効きづらいと判断し彼女が発動したのは単純に閉じ込める魔法。

 だが、閉じ込められたら最後、時間の流れすら狂う結界の内部に相手は閉じ込められ一定の時間が経過するか、シャルが魔法を解除するかしないと出てくることはない。


「く……我らは……負けるわけにはいかんのだ!」


 だが、奇襲部隊も跡がない。もともと魔族に勝っているのはその人数ぐらい。一人一人の戦力ではどうしても勝てないし、だからこその頭のみをたたく奇襲部隊。


 三分の一ほどが行動不能に陥れられたからと言って彼らには帰る場所もない。目の前の脅威を放置すれば戦争が傾くことくらい簡単に想像がついてしまう。

 気力を振り絞り、各々が固有魔法を発動させながらソルトとシャルの方向に攻撃を仕掛ける。

 ソルトたちも相手の魔法を警戒しながら迎え撃とうと身構えた。

 その時だ。



「はーい。そこまでですよ~。神届物【逆境を(エト・ソヴェルト・)鎮める刀(サムシャレル・モトガング)】」

 

 第三者の声が響き、同時に空間を魔力が埋め尽くす。


「これは……」

「き、貴様!」


 現れたのは悪魔喰いの団員、ナイル・パウラム。金の短髪をたなびかせながらソルトたちと奇襲部隊の間に立つ。


「これ以上戦うならどちらも私が相手になるわ〜。無駄に死にたいのであればどうぞ〜」


 持ち手の両方に刃がついた剣のようなものを回転させながら彼女は宣言する。ここにいる全員を相手しても虐殺できると。


「と、突然出てきた……それも敵の言うことなど聞くわけが」

「知らないと思うから教えてあげるわ〜。私の神届物の能力は【公平】。敵全員の魔力や膂力を合わせた力を私は扱えるのよ〜。どちらが勝つかしらね〜」


 当然、一人に力が集約されている方が有利だ。それにナイルは敵全員と言った。彼女が敵視するだけでソルト達もその中に入るだろう。


「分かったなら早く行きなさいな〜。あなた達は魔王を倒すのでしょう? あの方は待ちわびてますよ。それにソルト君たちも。お願いしたことを忘れたかしら?」


「ちっ」


 ソルトたちに襲いかかってきた戦士たちは動ける者のみ、行動を開始する。ナイルが言っていることがほんとか嘘かはわからない。それでも行かせてくれるというなら行くまでだ。ナイルが後ろから攻撃してくることだけに警戒して彼らは魔王のもとへ行く


「ま、待て!」


 魔王を、育ての母であるリナを狙おうとしていると聞いてソルトは止めようとするがそれをナイルが阻む。


「いい加減になさい。魔王リナ、及びバミル。ワーリオプスはすでに全員が己の命運を定めた。それをお前如きが邪魔するな」

「どういうことで……まさか」

「シャル? とうした?」


 何かに気づいたようなシャルにソルトが尋ねる。


「魔王の方達は全員……」

「ええ。死のうとしてますが? それが何か?」

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