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道に咲く華  作者: おの はるか
我、恋慕の道を突き進む
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悪魔喰い激突編 壱

 カチャカチャと食器とナイフがふれあう音がする。そしてそれに付随して食べ物を咀嚼する音。


 場所は大きな広間の中央に置かれた長机。そこに十人の男女が向かい合うように座り食事していた。


「全く……想定外も良いところね。なんで戦争が始まろうとしてるのよ」


 肉を切り、口に運びながら悪魔喰いの団員であるチェリシュは不平を漏らす。


「使徒が動いたのでしょうか?」


 チェリシュの左に座るマドルガータがナポリタンをフォークに絡め取りながら推測を口にする。


「でしょうね~。じゃないとこんなに早く、幾つもの国が協力して動くはずがないわ~」


 【悪魔の脳】を持つナイルが自身の導き出した答えを伝える。一瞬全員の食事の手が止まる。


「どうしようかしら。これじゃあ魔王を復活させても最後まで反抗してきそうよ」

「使徒倒すだけならまだ単純なのにな」


 チェリシュの向かいに座る少女が呆れたように声を発する。そしてそれに同意するようにチェリシュの左側に座る少年も同意する。

 その少年の瞳はじっとマドルガータを見つめていた。


「すいませんね。本当に私の我が儘なのに」


 申し訳なさそうにしながら、マドルガータが全員に頭を下げる。


「いやいや、王国の方が悪いんだから! マドルが謝ることじゃないよ」


 マドルから少し離れたところに座っていたソルトの姉プレアが彼女を擁護するように言葉を発する。


「そう……だよ……。それに……貴方の夢が……叶うことは……とても喜ばしい……世界の平和なんて……その後で良い」


 長机の一番端に座るミネルヴァが皆の意見を代弁する。


「ありがとうございます……」


 深々とマドルガータが頭を下げる。


「で? どうするんだ?」

 

 マドルガータの前に座る大柄な男がこれからの方針を尋ねる。それに答えるのは勿論ナイルだ。


「使徒を倒すのが第一目的になったかんじね~洗脳といてその上で目的を達成するしかないわ~。この食事が終わりしだい洗脳をかけたと思われる使徒を叩きに行くわ~」


 のんびりとした口調でありながら、その言葉の過激さにその場にいた全員が息をのむ。


「誰か分かってるのか?」


 ミネルヴァの向かいに座る青年がナイルに聞く。


「アクア達が数時間前に魔王の右足を奪取しようとしたときはまだ軍隊の動きも正常だったでしょ~? だけど今日、夜になって急に軍が動き出したわ~。なにかあったのは間違いないわ」


 ナイルが返答する。続いてプレアも話す。


「転移系の魔法も確認したよ。行き先はシャルトラッハ王国。多分全ての王国からも向かっているでしょうね。そして向かって三時間後、王は帰ってきた。何か大事な会議にしては早すぎるよね」

「となると考えられるのは洗脳系……策略で準備を進めたにしては早すぎる」


 プレアの情報に彼女の向かいに座っている、腰に日本の刀をさしている少女アクアが推測を口にした。

 そしてチェリシュが更に踏み込む。


「そうね。そして私達はその能力を持つ使徒を知っている。傲慢の使徒。やつの装飾品を身につける。それが彼の駒になる条件。適任は私かしらね」

「私の人形も効きません、おともしましょう」


 マドルガータもチェリシュに進言、適任というのはその敵を倒すのに有効、と言う意味だ。


 一方で、【傲慢の使徒】に対して自分は相性が悪いと感じる者もいた。


「私は何をすればいいの?」


 肉にかぶりつきながらフードを被った少女が問いかける。


「そうね~、それなら異世界勇者の殲滅をお願いするわ~。魔族が戦争で不利になったら本末転倒だからね~」


〇〇〇


「さて、俺達は店の準備でもするか」


 悪魔喰い、その拠点に残ったのは大柄な青年と背の低い少女のみ。他の団員は全員出撃したのであった。


「丁寧……だよね。ヴァンって……神届物で……原材料だけじゃなくて……料理も出せるんでしょ?」


 ぼそぼそと、だがはっきりと聞き取れる声でミネルヴァがもう一人残ったヴァンという青年に話しかける。

 ミネルヴァ・アルトリアとヴァン・アルトリア。二人はつい先日結婚したのであった。


「それでも愛情とか込めようと思ったら自分で作るのが一番なんだよ」

「ふーん……私には分からないけれど……そう言うところも好きよ」


 そう言いながらミネルヴァもヴァンが行う料理を手伝う。


 悪魔喰いの団員が活動するための資金源は二つ。一つは冒険者としての荒稼ぎ。

 そしてもう一つは原材料ただの高級料理店。料理人はヴァンだ。なお、原材料ただの理由は彼の神届物。望んだ食材を目の前に出現させることができるものだ。


「それ……便利な力よね……」


 食材を机の上に出した瞬間を見ながらミネルヴァは感嘆を口にする。


「あ~、これな。この世界では餓死したくないって言ったらくれたんだよ」


 そんなたわいもない話をしながら店に出す料理の準備をしているときだった。


 カランカラン、と誰かが店の中に入ってくる音がする。ミネルヴァが厨房から確認すると三人のフードを被った人物であった。


 一瞬驚いた二人だったが、入ってきた彼らから実力を感じなかったために普通の民間人が入ってきたのだと判断。ミネルヴァが対応する。


「すみません……まだお店は」


 だが、その声を遮るかのように三人の珍客は声をそろえて言った。


「【神届物(ギフト)】【万物変化】!」

「【神届物(ギフト)】【色彩華】!」

「【神届物(ギフト)】【剣の裁き】」



 孤児院襲撃と同時刻、数の暴力が悪魔喰いにも襲い掛かる。

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