2人の朝
マリーが思いがけないプロポーズをしてくれた夜から数日後。
「知華、起きて?」
「ん〜…まだ眠いよ、あと1時間〜…。」
「1時間は長すぎよ、まったく…。寝ているばかりの知華にはキスしてあげないんだから。」
キス、という単語が聞こえた気がして、被り直した布団から頭を出す私。
それをちらりと見て、少し赤くなるマリーはやっぱりかわいい。
「えっ、マリー、それほんと?」
「冗談よ。…まぁ、してもいいのだけど。」
「ほんとに?」
「ほ、ほんとよ?」
「じゃあ起きるね♪」
「な、何でそういう時だけしっかり起きるのよ…。」
いつもこんな感じだ。たまに起こすのが逆になったりするけど、大体は遅くまで寝ている私をマリーが起こすのが習慣になっている。
「ふふ〜、いい朝だねっ!」
「さっきまで寝てたのによく言うわ…。まぁ、でもいい天気ね。どこかに出掛ける?」
「ううん、今日は家でゆっくりしようよ。あえて出掛けないのもいいでしょ?」
「…まぁ、そうかもしれないわね。じゃあ、今日は一緒にいましょう。」
「えへへ、じゃあパジャマでいいかな?」
「着替えなさい。」
「え〜。マリーのケチ〜。」
「ケチじゃないわよ…。」
最近なんだかマリーに甘えてしまうことが多くなったけど、それは会えなかった間に膨れ上がったマリーへの恋心のせいということにしている。
そんな私を嫌がらず、逆に優しく相手をしてくれるマリーが大好きだ。
「あっ、マリー?」
「え?何かあった…ん」
ふと思い出してマリーを呼ぶ。
振り向いた彼女にそっと口づけをする。
「油断したね、マリーさん♪」
「な、知華…!もう、ほんとに…。早く着替えて朝ごはんにするわよ。」
真っ赤になりながら部屋を出て下の階に向かうマリーを、にこにこしながら見つめる。
私がマリーにいたずらした時に見せる、あの真っ赤な顔が好きだ。マリーをいじるのが好きとか、私はそろそろ重症なのかもしれないけど、マリーにだったらおかしくなってもいいと思う。
だって、私はこんなにも彼女が好きなのだから。




