ほんの少しの後悔
マリーと少し話をして、私は自分の部屋に戻った。部屋には明かりがついていない事を不思議に思って電気をつけると、ベランダに加奈の姿があった。
「加奈?風邪引いちゃうよ?」
「…知華?おかえり、マリーちゃんとは上手くいった?」
「うん、加奈のおかげだよ、本当にありがとう。」
「気にしないでよ、親友として当然でしょう?」
そう言うと加奈は笑った。その笑顔がどこか寂しげなものだったから、私は思わず加奈を抱きしめていた。
「知華?どうしたの?」
「…何で笑うの?」
「何でって…知華がマリーちゃんと上手くいったっていうから嬉しくて?」
「じゃあ、何でそんな泣きそうな顔してるの…。」
「…え?」
加奈は涙は流していなかったけど、とても苦しそうな顔をしていた。そんな顔をさせているのは間違いなく自分のせいで。
「あたしは大丈夫だよ?」
「…嘘じゃない?」
「…うん、嘘じゃないよ。本当に大丈夫だから。」
「…わかった。」
「気にしたら帰ってからケーキバイキングね〜。」
「へ?き、気にしない!」
冗談だよ。というと、加奈は声を上げて笑った。その顔はさっきと違っていて、私は少し安心した。
部屋に戻って、明日の予定のことや回る予定の店のこと、帰りの事についての話をしながら私達は眠りについた。




