再会、そして
「マリー!」
「嫌、離して!」
「話を聞いて、マリー!」
最初は抵抗していたけど、必死に話しかけていたら落ち着いてくれた。ひとまずマリーの部屋に向かいながら、私は俯いたままの彼女に問いかけた。
「…マリー、いつから日本に?」
「…少し前に。お祖母様がお休みをくださったから…。」
「そうだったんだ…。…ねぇ、その指輪、まだ持っていてくれたんだね。」
「もちろんよ!この指輪があれば知華と繋がっていられると思ったから、ずっと…!」
マリーはその綺麗な目に涙を浮かべながら少し大きい声で言った。
私と一緒に買った指輪は、もう1年も経っているというのにきらきらと輝いていて、マリーが丁寧に手入れをしていたのが分かった。
「…私もだよ、マリー。今もマリーと同じように首に掛けてるよ。」
「…知華…。ありがとう、もう私の事は忘れてしまっただろうと思っていたから嬉しいわ。」
「そんなはずない!私は今でも…!」
その続きを言いかけて、私は思い出した。マリーがアメリカに戻る時、私達は別れた。今更言ったって元に戻れる訳が無い…。
「……ごめんなさい、もう別れたんだからダメだよね、忘れて。」
「知華…そんな事言わないで、お願い…。」
見るとマリーは大粒の涙を流していた。
「私だって戻りたかった。すぐにでも家を飛び出して知華に会いたかった。好きだって気持ちを伝えたかった、諦められるなんてなかったわよ…!」
「マリー……私ね、今でもあなたが好き。…無理だって分かってるけど、また一緒に…。」
「…よかった、私も知華が好き。1年間忘れるなんてなかった、ずっと想ってた。…私の都合で振り回してごめんなさい、また、付き合ってもらえる…?」
「もちろんよ、ありがとうマリー…!」
また泣いているマリーを思い切り抱きしめた。マリーは相変わらず少し冷たくて、でも暖かくて。久しぶりの彼女の感触に涙をこぼしながら私達はしばらく抱き合っていた。




