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懺悔〜加奈目線4〜
知華がマリーを追いかけて行った後、あたしは廊下で1人で立ち止まっていた。
「…何偉そうなこと言ってんだろ…あたしだって怖がって何も出来てないのに、知華の背中押すみたいな事しちゃって。…馬鹿みたい。」
俯きながら呟いた。
自分の事を気にして大好きな人を追いかけるのをやめようとしてくれた知華の優しさに甘えそうになったのも、行かないでほしいと願ったのも全部が嫌だった。
まだ知華の事が好きなのを再認識してしまって、情けなくて辛くて涙がこぼれてきた。
学校で友達が出来なかった加奈に手を差し伸べてくれた知華。自分の過去を受け入れてくれて、関係ないよ 大丈夫と笑ってくれた知華の全てが愛しくて。告白して振られても普通に接してくれて…もう友達としていようと努力して、好きだという気持ちを忘れようとしていたはずなのに。
「…知華…。ごめんね、やっぱり忘れるなんて無理かもしれない…。」
とっくに姿が見えなくなってしまった知華の事を想い、加奈はしばらくその場で泣いていた。




