待ちわびた温泉へ
「加奈、浴衣似合ってるね!」
「いやいや、知華の方がスタイルいいし綺麗だよ!羨ましい…。」
部屋に着いてすぐ、加奈が“旅館といえば浴衣!”と言ったから 私達は着替えることにした。加奈はほっそりとしていて 体のラインがすごく綺麗に見えたから、私はドキドキしてしまった。
私は…ダイエットしてるけど 少しお腹が出てるような気がするし、胸も大きめだから綺麗に見えない気がするんだよなぁ…きっとお世辞だな、うん。
「お世辞だな、って考えてたでしょ?そんなことないからね〜。」
「うっ…な、何のことかなぁ…?ははは…。」
「分かりやすすぎだから…。…よしっ、もったいぶるのもなんだし、待望の温泉行きますか!」
「わぁい、温泉!レッツゴー!」
荷物をある程度片付けて、一緒に温泉へ向かう。
廊下も綺麗だし、さすがって感じだなぁ…来て良かった♪
歩きながらそう考えていると、加奈が色々説明してくれた。
「ここの温泉は美肌効果とかあるんだって♪たっぷり時間かけて入らないとだよね!」
「そうだね!ふやけるくらいに入った方がいいかな?」
「知華は大丈夫でしょ?こんなに肌綺麗なんだしさ〜。」
そういうと加奈は私をじっと見つめた。
ゆっくりと全身を見て、
「うん、やっぱりいらない。」
なんて言った。
「いや、要るから!美肌じゃないし!」
「いやぁ そんな事ないな。…まぁ、もっと綺麗になってくれてもいいんだけど♪」
「む〜…。本当にそんな事ないのになぁ…。加奈の方が綺麗なのに。」
「へ?そんなことないから!あ、ほら着いたから早く入ろ!」
「あっ、誤魔化した!」
私がこっそり呟くと加奈は少し赤くなったように見えたけど、すぐにどこかを向いて行ってしまった。
「えっ、待ってよ〜!」
旅館入る時もこんなだったな…と思いながら 私は加奈を追いかけて中に入った。
視界の端に映る金色に気づかないまま。




