レッド・クリスマスイブ
……窓よし、玄関よし。
これで今日、あの親父は入ってこないはず。
「と思うじゃん?」
俺の声を読んだかの様に親父の声がした。
「ぬわああっ!? どっから入った!」
「え? 普通に玄関だけど」
俺は各々くつろいでいる空気たちに目を向けた。
「ボクたちは何もしてないよ」
アリスが訊ねるよりも先に答えた。
嘘を吐いている様子は無い。
「バカめ、以前侵入したさいに鍵の写真を撮って複製したんだよ」
「バカはてめえだ!」
迂闊だった。家の中では管理が適当だったのがよくなかったか。
「まあ落ち着けって。何もただ飯かっ喰らいに来たわけじゃあねえ。そんなことしたら母さんにどやされちまうよ」
「じゃあ何の用だよ」
「何でい、つれねえな。俺からもクリスマスプレゼントを用意したんだよ。ほれ」
親父は俺に四つのラッピングされた箱を手渡した。
ただのバカだと思っていたが大人らしい一面もあるんだな。
と、思ったのもつかの間。
「お前にもあるぞ、ほい」
「これ……俺の貯金箱じゃねえか! てめえが持ってやかだったのか! もう帰れ!」
引っ越しの際、しまってあった場所に無かった俺の貯金箱を今さら持ち出され、憤った俺は親父を閉め出した。
何だあいつは。ただのクズじゃねえか。金もいくらか抜かれてるし。
本当、何であんなのが人の子を持つ親になれたのか不思議でならなかった。




