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『それで《色欲》はどうしたのかね?君の協力者……柊真琴君だったかな?彼女が回収していったようだが……』
『はい……先ほど預かって《色欲》の封印に成功しました……』
『そうだったか……とりあえずコレで《色欲》については一件落着だな』
『そうですね』
まあ実際そうとは思えない自分もいるわけだが、白鳥の処分がどうなるかなど気になることはたくさんある。あくまで被害者のうちの一人として数える気なのだとしたらそれこそ殴り込みにでも行きかねない。
『気になるか?』
『あれ?漏れてました?』
『わざとやっているのかどうかは定かではないが、トレーニングせねばいつまでたってもそのままだぞ?制御くらいできるようになっておけ』
『すいません………』
と予想外の喝を入れられ実感へこんでしまう椋。そんな椋に村本は続ける。
『白鳥旭陽の処分についてだが、けが人の合計が100を超えてしまっていては学園側も看過できん。恐らくは退学処分となるだろう。本来ならばしかるべき機関に任せることになるのだが、今回は別だ。七罪結晶によって自我を失っていたという可能性も否定できんからな』
『………』
もちろん納得がいく結論ではない。しかしそれ以外の案を提案できるほど椋の立場はいいものではない。
『これからは七罪結晶を所持するものがそれによって事件をおこした場合無条件で退学処分とすることが決定した』
『そうですか……』
そういうことしかできない。むしろ所持自体に罰則がないというところだけは救いか。大久保のように無自覚での所持で突然退学を言い渡されるとすればそれはあまりにも理不尽だ。
『次の目標は決定しているのか?』
突然切り出す村本。
『たしか《怠惰》が朱雀寮の中で確認されたって言ってましたよね?無難にそこに行こうかと思ってます』
『《怠惰》を狙うならちょうどいい。先日《怠惰》の所持者を特定したところでな』
『ホントですか!?』
『嘘などつかんよ。朱雀第五寮所属2年生今多堂太という生徒だ。後でパーソナルデータも送っておこう』
そういえばこの人は校長。一応ではあるが生徒の個人情報を閲覧出来る立場にいる人間だ。特定さえできればそれなりの支援はしてくれるのか?そんな考え事をしているうちに校長は続ける。
『しかし少しだけ問題があってな…………………』




