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「それも違う。それはあくまで応用よ。アタシが言ってるのはこういう事よ……」
彼女が冷静に箸を動かしながら能力を展開させ、緑の結晶光とともに『可視化の片眼鏡』を現出させる。
その場にいる椋と金田はそれをただただ見つめている。
一体に何が変わっているのか全くわからない。
彼女が口の中にあるものを食道を通し胃に送る。
もっていた箸で椋を指し開いた口から言葉が出てくる。
「まずアタシのこの片眼鏡の固有能力は何?」
「それは……エネルギーの可視化か?」
「そう、可視化。これがアタシが望んだ能力の原型。基盤のコアみたいなものよ。で、アタシのこの片眼鏡は基本的に能力の流れを見るためにあるものよ」
「だからそれはわかってるよ……あんまり難しいこと言うと俺の頭が爆発するぞ……?」
と椋は冗談まじりかつ結構本気で言う。
「結論を言うとこういう事よ」
真琴がそう言って、片眼鏡を上げ、その下に装着されている緑縁のメガネを外す。
「『可視化の両眼鏡』!!」
彼女のその宣言とともに彼女の結晶がさらなる結晶光を放つ。いつも左目しか覆わない光がやはり左目に集約し、その上に装着された片眼鏡を包み込む。
「可視化の両眼鏡?」
その疑問を浮かべ、問うと同時に、彼女の左でこあたりで輝いていた結晶が大きく光り、眉間に移動、そのままくだって、彼女の眼前まで移動してどんどんと形を形成していく。
これまでは円形だった片眼鏡は一切原型をとどめておらず、今度は逆ナイロールで鼈甲をそのまま緑に染めたように美しい色のフレームの両メガネだ。
「これがアタシの可視化の強化、察知の片眼鏡、感知の両眼鏡って言ったところかしら」
「はふがへえはん!!」
「確かになんかすごそうだがとりあえず口の中のものをなくしてから喋ってくれ!」




