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 この現象はアレだ。限界点突破というやつだ………。某弐号機のビー○トモード的なもんだ。

 

 「何言ってるんっすか辻井君!姉さんはだいじょうぶなんっすか?」

 

 金田が心配そうな声でそんなことを聞いてくる。確かに大丈夫ではない。しかし真琴ではなく金田、君の方が、だ。

 もう警告は飛ばした。ここからは俺の責任でもなんでもない。



 さてさてこれから金田が合うであろう被害を簡単に段階に分けて説明しようではないか。

 彼女のこの行動は何段階化に分かれている。それがいつ終わるかはそのとき見た可愛いものレベルに比例するわけで、正確な区分は俺にはさっぱりわからない。


 真琴が伏せていた表情を表に出し、のろのろと歩き出す。

 その表情を見た金田の顔はどんどんと恐怖に染まっていく。 

 今俺がいるポジションではその表情を確認することはできないが、その表情は時に強大な力を持つフールでさえも恐怖に染めるのだから相応恐ろしいものなのだろう。


 真琴第一フェイズ、”抱きつく”だ。


 逃げるという原始的な行動さえもを忘れ、金田はブルブルと震えだした。

 あの時に似ている。今日金田を教室から連れ出した直後に『殺さないで』と叫んできた時にとてもよく似ている。つまり彼は今命の危険を感じているのだ。

 真琴は大きく両手を広げそのまま自信より身長の低い金田を胸元に引き寄せるように抱きつく。

 

 さてこの抱きつく。フール談では呼吸不能になるらしい。彼の話ではまるで獅子が捉えた獲物を暴れないように喉元に噛み付き窒息させるかのように、可愛い相手を加減なく抱き寄せるらしい。

 

 金田が手をバタバタと揺らし必死にもがいている。最初は照れ隠しのようなものだったらしい。急いで離れようとているのだろうが、真琴の予想以上の腕力に一切の抵抗ができていない。

 次第に事の深刻さを理解してきたのであろうか?もがく動きも一層激しいものとなっていく。

 しかしその相手は女性、暴力に訴えることはできないのだろう。呼吸ができないという思考が錯乱するような状態では冷静に脱出することはできないらしく、暴れまわったせいか金田は1分と持たず事切れた。

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