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なに、ズボンをさっと降ろし履き替え上もいつものカッターの上にいつもと色が違うブレザーを羽織ればいいだけの話だ。Ⅴは一応というか後ろを向いている。
そう割り切って勢いよくズボンをずらし履き替えようとする。足を通しいざ上にあげようとしたその時だった。
バンッと再び部屋の入り口に当たる扉が勢いよく開け放たれる。椋が突然の物音に振り返るとそこにはポリエチレンのおそらく弁当が入った袋を手に少々息を切らした懋の姿がある。
「椋!!今日白虎に行くんなら俺っちにもひとこ……………………え?」
懋の叫びがだんだん窄まっていき、最終的に疑問系に変わる。
さて懋視点から現状を捉えてみよう。
現状部屋にいる人間は3人。辻井椋、柊真琴、能力孤児Ⅴの3人だ。
しかし懋は真琴がこの部屋にいるということを知らない。つまり今部屋にいるのは椋とⅤだけと思うはずだ。
さて部屋の状態がどうなっているのか。一人はローブを身に纏いもうひとりの男に背を向け何かを待っている。
もう一人はどうだ?スラックスを半分下げその姿勢で固まっているのだ。
「なるほど……椋は責めの方か……じゃあキョウちゃんとそこのⅤさんは受け…………なるほど……」
「俺は責めでもなけりゃ受けでもない!そしてなるほどじゃねぇよ!!」
ズボン腰まで一気に上げ、叫ぶ。勝手にホモ疑惑を付けるな俺に……。
「あ~ノーセンキューだぜ椋。こういうサービス回は女性限定で頼む……」
懋が右手を前にだし拒絶の意を示しながらそう言い放つ。
「だから俺はホモじゃない!!」
「っきからうっさいわね!!」
とそんな椋の嘆きをトイレのドアとともに蹴り飛ばし真琴が現れる。
いつもの黄色とは違い黒の生地に入った純白のライン。そして黒と白のチェックのプリーツスカート。
別に麒麟の制服が悪いといっているわけではないが、やはり白虎の制服は清潔感に溢れている。
「まこっちゃんいたのかよ…………つまんねぇ」
「懋!アンタはいつも椋にホモ性を求めすぎなの!」
「そうだぞ懋!!」
真琴が懋を批判するのに乗っかり椋もしっかり懋に言葉を投げる。
「まぁ椋はそっちのけありそうだけどね」
「え?」
突然真琴が裏切りを開始する。
「やっぱりそう思うよなまこっちゃん!わかってるわ~」
「え?なんで真琴まで懋側についてんだよ!!」
毎回こう言う役回りが回ってくるのは椋なのだ。




