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 「ちょっとそれどういうことよ!!」

 「深い意味なんてないよ……約束は守れよな」

 「だからわかったって言ってるでしょ!」


 少々口論になるがそんなのいつものことだ。懋と新田は微笑ましくそれを眺めている。


 「そういえば沙希はどうしたんだ?」


 椋が真琴に問う。沙希があんな状態で帰ってきた真琴が外に出るのを止めないわけがないのだが……。


 「ああ沙希なら調べ物があるってどっかいっちゃったよ?」

 「そうか……調べものね……」


 とまあ彼女の行動をとやかく言う気はないが、一応外は何が起こるかわからない状況。外出は控えて欲しいというのが1つ、そしてこのあと沙希にもこの話をしようと思っていたのだがタイミングを逃してしまったなというのがもう一つだった。


 「とりあえずこれ渡しとくから自分のOLと同期させといてくれ」

 「うん。わかった」


 真琴に灰のOLを渡す。確かに彼女がいれば所持者の特定はたやすいだろう。

 しかし今日、寮間闘技で現れたエンヴィを見ただけで一瞬のうちにあれだけの疲労を強いられたのだ。昔いっていた膨大なエネルギーが発生すると自然と能力が発動してしまうというやつだろうか、常に七罪結晶の禍々しいエネルギーを目視していればそうなってしまうのかもしれない。

 あの真琴の姿を見たあとで彼女を連れて行くのを良しとする人間がいるわけがない。

 

 「とりあえず今日は部屋に戻ってゆっくり休んでくれ……明日から行動を開始しよう……」

 「解った。じゃあアタシ先に部屋戻ってるから……」


 そう言って彼女は踵を返し椋&新田の部屋から出ていく。颯爽と現れて颯爽と帰っていく。なんとも自由なやつだ。


 「ああ、お休み」

 

 それを告げること彼女はもう部屋にはいなかった。 



 「懋も新田くんもありがとうな……」

 「なにがだ?」「何がだい?」

 

 懋から疑問が飛んでくる。出来たら聞き流して欲しかったのだが……。改めて聞き直されると実に答えにくい。

 やはり全て打ち明けてしまえば楽なものだ。これ以上ない位に話も早く進むしなにより心に余裕も持てる。それを気づかせてくれたことに対する感謝の言葉だ。


 「なんでもないよ!」


 そう言って会話を切る。照れくさい。そんな感情が椋の中で巡っていった。


 第15部 ~契約者~ 終

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