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16

 

 仕方ないで片付けてしまえば抱えていた問題など実に単純なものだ。

 すべてを話すのにはやはり少々時間がかかってしまったが、それでも包み隠さずすべてを懋に打ち明けた。


 「なんでもっと早く俺っちにいわねぇんだ!!」

 「言ってるだろ?この任務は俺自身の目的のために受け入れたものなんだ……。皆を危険に晒すくらいなら俺はこんな任務受ける気なんてないよ……」


 少々怒りの混じった懋の声で思わず彼から視線を外し、縮こまるようにそう言う。


 「なんで椋はそう……自分だけで背負い込むんだ?いいじゃねぇか頼っても……いいじゃねぇか迷惑かけても……そうやって他人を頼っていきたいくのが人間ってもんだろ……」

 「その意見には僕も同意するよ。辻井君、君はひとりで抱え込みすぎだ」


 先程まで見方だったはずの新田までもが懋側に付く。わかっているのだそんなこと。


 「そんなこと言われてもな……。遠慮やそんなものじゃないんだ。ただ単純に大切な人を傷つけたくない……それだけなんだよ」

 「あ゛ーもう、だからそこが間違ってんだよ……。椋、お前は俺っちのことを大切な人と思ってくれてる。それは俺っちも同じなんだ……。こっちからしたら椋が一人で背負い込んで傷ついていくのを指くわえて見てるよりは一緒に傷ついていったほうが何倍もマシなんだよ!」

 「その通りだよ辻井君。それに、一人よりたくさんいた方が戦力的にも増強される。百理あって一害なしだよね」


 二人の言葉が心の重みを消していく。一人抱えていた様々な物をみんなが一緒に支えてくれているような。


 「懋…新田君………」


 こみ上げてくる感情を抑え、自分の非を認める。

 自分視点からでしか物事を捉えていなかったこと、相手の目線に立って物事を見ていかなければならないということ、そんな大切なことに気がついていなかった自分はやっぱり愚か者だということ。

 本当に二人の好意を受け入れてもいいのだろうか?結局そこに行き着いてしまう。

 くだらない意地のようにも見えるかもしれない。でもこれだけは言えるのだ。


 誰も……誰も傷つけたくない。

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